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『傾城のごとく』
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『傾城のごとく』-5

ー翌朝ー

「千秋オハヨー!」

「あっ、亜紀ちゃんオハヨー!」

よくある登校風景。小野亜紀は千秋の友人で、数少ない彼女の理解者だ。

「昨日の雨ひどかったね。私、ズブ濡れだよ。千秋は?」

「私も。おまけに変なモノ拾っちゃって」

「変なモノ?」

「あっ、何でもない。それより遅刻しちゃうよ。急ごう」

2人は足早に駆けて行った。



窓の外をぼんやりと眺める千秋。すると、先生のゲキが飛んだ。

「朝丘、朝丘千秋!」

千秋は無意識のうちに、バネ仕掛けの人形のように立ち上がる。

「ハ、ハイ!」

先生はやや呆れたように、

「昼休みまで残り20分だ!踏ん張れよ」

教室がドッと笑った。

「は、はい。すいません…」

千秋は顔を真っ赤にし、消え入るような声で席に座る。

(まったく。何やってんだ私。しっかりしろ!)

千秋は黒板に集中した。


ー昼休みー

「どしたの千秋?悩み事なら言ってごらん」

亜紀だ。

(私は彼女のアッケラカンとした性格が、羨ましくもあれば、うっとうしくもある。今は前者だけど)

「亜紀ちゃん。家に猫いるじゃない。飼うの大変?」

亜紀は口を尖らせて、

「ンー、そうだねぇ。私はよく分からないけど、お母さんは嫌がってるね」

「なぜ?」

「やれ、毛が飛び散るとか、爪研ぎするからマットや柱がキズだらけだって」

亜紀は更に、

「エサやりも大変だよ。猫って夜行性だから夜中にエサを食べたがったり」

(やっぱり動物を飼うのって大変なんだ。お母さんに何て言おう)

「実はさ亜紀ちゃん。私、昨日の帰りに仔猫を拾ったの」

千秋は昨日の出来事を亜紀に話した。

「昨日のうちに家族に話そうとしたんだけど、言えなくて。ねぇ亜紀ちゃん、どうしたらいい?」

亜紀は“うーん”と言いながら考えた後、千秋に対して、

「とにかく家族に話しな。後は3日間病院に通う事」

やはり結論は千秋の考えと同じだった。

「亜紀ちゃん、ありがとう。相談に乗ってくれて。私やってみるよ!」


「そう、その意気よ!あと2時間ぐらいで学校終わるから、そしたら一緒について行っても良い?」

「もちろん!」

千秋は心が晴れたのか、ニッコリ笑って答えた。

外の木々は“さわさわ”と唄いながら木漏れ日が揺れていた。風がそよいでいた。


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