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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第九章』-3

「千里君が変なの。」
ファーストフード店に入って、席に着いて開口一番。梓がそう言った。
梓の前には優魅、その隣りに秋冬が座っている。秋冬はアイスティーを口にした。
「変?」
「うん。」
「なんで?」
梓は考える。
「そうだね…。人の胸倉掴んで、大声で怒鳴って、壁殴ってる千里君を、想像できる?」
優魅は驚いた。
「それほんと?」
「想像…できないな、それは。」
梓はオレンジジュースを飲む。
「何か知ってる?」
二人は首を振る。
秋冬には心当たりがあったが、千里に秘密だと言われているから、言わない。
「千里君は誰に掴み掛かったの?」
優魅の質問を聞いて、梓は溜め息を吐いた。
「確か名前は…白鳥君。」
「えっ!?」
秋冬は驚いた。
まさに想像通りの名前が出てきて、怒りも感じた。
「どうしたの?」
梓は秋冬を見た。
「なんでもないよ。」
その答えは梓にとって納得いくものではなかったが、素直に受け流すことにした。
秋冬は携帯電話を開いた。
「あ、ごめん行くとこあるんだ。またね。」
秋冬は立ち上がる。
「じゃぁねー。」
「また明日。」
秋冬は店を出た。
「…秋冬君も、変だよね。」
優魅がつぶやく。
「…白鳥って言葉に、反応したね。」
梓はジュースを飲み干した。
「そういえば、梓…部活は?」
梓は困った顔をした。そのことを聞かれ、ばつが悪そうに言った。
「…サボった。」





「あいつ千里にまで何してんだよ…!」
秋冬は帰路を走っていた。
「姉貴にも何かしてねぇだろうなぁ…?」
秋冬は玄関のドアを開ける。
「ただいま。」
秋冬はリビングに入った。
「おかえり。」
そこには春夏がいた。
春夏はせんべいを食べながら夕方のニュースを見ていた。
「どうかした?そんなに息切らしてさ?」
秋冬は肩を上下させている。
「姉貴…、白鳥に、なんか言われなかったか…?」
春夏はテレビを消し、秋冬が隣りに座れるよう、せんべいの袋を持った。秋冬はソファーの空いた所に座った。
「別に何も言われて…、」
春夏は思い出した。
「あ、幾間に元カノがいるって聞いた。」
秋冬の思った通りだった。
「姉貴、その事は誰にも言わないでくれ。」
春夏は笑う。
「どうしたの急に。」
「いいから。」
秋冬は真っ直ぐ春夏を見ている。


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