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秘書の恋
【OL/お姉さん 官能小説】

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後輩との秘め事…1-2

「あれー?書類渡さなかったんですか?」
「まだ帰ってなかったの?
社長忙しいみたいだったから渡さなかった」
必死で笑顔を作る。
本当は泣きそうだけど。
「帰らないのは松本さんが心配だからに決まってますよ〜書類は明日渡しますか?…え?」
あたしは手で顔を覆う。
「松本さん?!」
目から溢れる涙。
もう我慢の限界。
あの光景を見たら、思い知らされる。
…あの人があんなに強引に女を求めることがあるの?
あれほどまでに自分の体をぶつけることがあるの?
感情を、欲望を、本能を…
ただ冷めてた、あたしの時は。
あたしが愛撫をしても、体が反応するだけで心が反応しない。
多分ほかの女にもそんな抱き方をしてたんだと思う。
だけど坂下だけは違うんだって今日はっきり理解した。
「松本さん…大丈夫ですか?」
「大丈夫よ…何でもないわ。
真鍋、確か電車よね?
うちの近くのはずだったと思ったけど、良かったら送らせて?
わざわざ待っててくれたんだからそれくらいはしたいんだけど」
あたしは涙を拭いながら言った。
「松本さんがいいなら」
真鍋は笑ってそう言う。
それ以上は何も聞いてこなかった。
車を走らせている間もそんな話題は出なかった。
「着いたわよ?」
真鍋の住んでいるアパートの前で車を止めた。
「ありがとうございます。
良かったらコーヒーでも飲んでいきませんか?」
「いいの?」
あたしはその優しさに甘えたかった。
今は何かにすがりつきたくて…
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「ありがとう」
「いーえ」
ニコッと真鍋は笑ったけど。
この状況…甘えたいなんて思ったけど…まずいよね?
「意外と片づいてるね〜」
「意外とって失礼ですね〜こういう風に目上の人を呼ぶ時に失礼ですからね!」
…ああ。あたし目上の人か…
そりゃ31だからね、真鍋はまだ20代だし。
「…泣いてたから、ちょっと心配だったんですよ。
気が紛れたらいいなと思っただけです」
…あの光景はきっとずっと焼き付いてる。
目を閉じても…
あたしは坂下でありたかった…
「それに…」
ぎゅっ…と後ろからゆっくり真鍋はあたしを抱きしめた。
「俺は、松本さんが…」
この腕はあの人のものじゃない。
あの人のじゃない。
「あたし今はそういうのは…」
「好きな人って社長じゃないんですか?」
「…何言って…」
「だから泣いたんじゃないんですか。
あの人に泣かされたんじゃないんですか」
あたしはその腕を振りきろうとするけど、真鍋は放してくれない。
「放してっ…別にどうだろうと関係ないわよ!
も…帰る!」
「じゃ、何で俺の家来たんですか」
あたしの手が止まる。
そう。
あたしは真鍋に甘えたかった。
「俺にすがりたかったんじゃないんですか」
「放して」
真鍋は諦めたのか、簡単にその腕を放す。
「…すみません、乱暴なことして」
謝られたけどあたしは何も言わない。
…バカだ。
意地張ってる。
見透かされたことに勝手に怒っただけ。
「社長がそんなにいいですか」
「…うん」
あたしは一言、そう言った。
その一言がどんなに真鍋を傷つけるかをわかっているはずなのに。
「あたしね、そういう女だから」


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