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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-43

あの強襲から二日後、俺は後始末に追われていた。
作戦は成功とも失敗とも言えぬ結果であった。いや、どちらかと言えば失敗だろう。

社長と専務友常はフールによって殺害された。
ケイよって拘束された仕入れ部門の部長早坂は、俺が知る以上の情報は持っていなかった。
フールとアゲハを含む新たな組織の人間達は逃亡。フールが口にしていた秘密の脱出用出口を特定出来たのは、強襲翌日だったのだ。今はINCが日本警察の協力を得て、全力で足取りを追っている。
生きて拘束された衛兵達も、ダークネスに関する情報は一切持っていなかった。
奴らは今後、日本の司法機関によって裁かれる事になる。

だがダークネスの詳細な納品データが手に入った事は、大きな収穫だった。今後INCは各地に散らばったダークネスの回収と、その密売人の摘発にあたる事になるだろう。

ダークネス輸出の拠点となっていた築地の倉庫にも、摘発が行われた。
ムィをはじめとする、多くの運び屋が拘束され、倉庫内にあった納品直前のダークネスやコンテナ内の銃火器も押収された。

俺の潜入した麻薬密売組織は壊滅した。
それと共に、長かった俺のアンダーカバーとしての役目も終わった。
だが組織の壊滅はINCの強襲によってではなく、フールやアゲハ達の裏切りによってもたらされたのかも知れない。

肩に銃弾を受けた玲良は、万全の警備が整った病院にいる。未だに意識は戻らないが、目を覚ますのも時間の問題だと医者は言っていた。肩の傷も主要な組織は傷付けてはおらず、回復は早いそうだ。
昨夜、彼女の様子を伺いに病院に足を運んだ時、静かに眠る彼女には中年の男が付き添っていた。はじめは彼女の父親かとも思ったが、声を聞くと強襲の際、作戦本部に参加していた永井という彼女の上司であることがわかった。
俺は彼にある物を託した。
黒皮でできた長方形のケースだ。彼女がこのケースを開いた時、彼女は真実に気付いてくれるだろうか。

それから意外な人物にも出会った。
病室の外の椅子に座る、日本人の男。俺は彼も玲良の同僚かと思い、声をかけたのだ。
だが彼は彼女の職場の近くの所轄警察署の刑事だと名乗った。
俺の根拠の無い勘が、男と玲良が個人的な関係にあったと悟った。
『俺は彼女をパートナーとして迎えたいと思っている。仕事はもちろん、それ以外の時も。』
そう言った俺に、男は曖昧に笑った。
「今回の件で思い知りました。俺じゃ彼女の隣に居る事は出来ません。役不足だと痛感しました。」
静かにその場から立ち去る男の背中に、哀愁を感じた。
だが俺に彼女を手放すつもりはない。
産まれて初めて感じた、誰にも渡したくないという想い。
彼女と共に過ごす時間で知った、愛という感情。
彼女にしか感じないこの揺るぎない想いは、何者にも譲れない。

ケイは強襲の後も、何事も無かったかのように仕事をこなしていた。だが常に冷静だった心には、本人にしか知りえない傷が刻まれたようだった。
ケイがシェリルの心に入り込み、データを渡させたように、シェリルもケイの心に入り込んでいたのだろうか。

ライファーはダークネスの密造地の特定が叶わなかった事に些か苛立ちを覚えていたようだったが、俺を責める気は無いらしい。
それどころか強襲の際に骨組みしか残らなかった俺の二台の車の代わりが届くまでの間、自らが所有する車の中の一台を提供するとまで言ってくれた。
そしてその車が今日俺の元に届く。
「待たせたな。」
そう言ってライファーに渡された車のキィには、見た事の無い刻印が刻まれていた。


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