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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-28

『組織を潰せたとしても、もし俺達が密造地の特定出来なかった時、ダークネスを製造している奴らはどうすると思う?』
「現在ダークネスの流通を任せている組織が我々の強襲によって壊滅したとすれば、新たな流通組織を作ろうとするでしょう。」
『その通り。それは組織が摘発によって壊滅した時だけでなく、組織を絶対的な権力によって保持し続けてきた社長が死んだ時にも言えるだろう。』
事実、現在の流通組織は社長が要だ。病で伏せっている間はフールが社長の代わりを務める事で業務を遂行してきたが、社長という存在が亡きものとなればフールが代わりを務める事は出来ない。社長を崇拝しきっている重役達はフールが社長になり変わる事を許さないだろう。
『社長の命が残り僅かとされる今、ダークネスを製造している奴らは必ず動きを見せているはずだ。』
「ダークネスの製造者達は、既に新たな流通組織を作ろうとしていると?」
ケイは冷静に尋ねた。
『あぁ、だが一から組織作りをしていたのではダークネスの流通に滞りが生じる。ケイ、俺が何を言わんとしているかわかるか?』
俺は話の核心をケイに譲った。だがケイは表情をこわばらせるだけで言葉は口にしなかった。
ケイも気付いたのだろう。
現在の流通組織は強襲の有無に関わらず、社長の死と共に崩壊する。
そしてそれになりかわろうとする人物は、組織内に存在するのだ。
その人物はダークネスの製造者達とコンタクトを取り、組織の崩壊を今か今かと待ちわびているはずだ。
INCが現在の流通組織を壊滅させたとしても、新たな組織が作られてしまっては捜査は振り出しに戻ってしまう。



俺はそうなる前にこの捜査が終結する事を願っていた。
「現在の組織を裏切り、新しい流通組織を作ろうとしている者がいるとすれば、それは一体…。」
暫く何かを考え込んでいたケイは慎重に口を開いた。
『酷く閉鎖的な組織だ、重役の数は必要最低限に抑えられている。その少ない重役の中で専務の友常と仕入れ担当の早坂は完全に社長の下僕だ。その二人が組織を裏切るとは考えにくい。だとすれば残る重役は田端の他に一人しかいない。』
「そう、ですね。」
それに新しい流通組織を立ち上げるならば、現在の組織内でもより内情を詳しく知っている必要がある。
その事も踏まえれば、新しい流通組織を任せるのに最も適しているのは奴しかいない。
そいつはすでに病気で伏せっている社長の代わりとして、組織の全てを動かしているも同然なのだから。
『これからそいつの顔を拝みに行くとしよう。』
俺は横浜へと向かう為首都高に乗り、神奈川方面へと向かう下り線に合流した。


神奈川県内に入って30分後、俺達は横浜市南部の高台に位置する建物の中にいた。
そこはINCの事前調査の通り、山全体が組織の所有地のようだった。
俺とケイのいる建物は狭く急な坂を登った頂きにあり、この建物こそが組織の総本部だ。

「何のご用かな?」
幾つもの門と扉をくぐり、建物の中へと足を踏み入れた俺達に奴は言った。
『俺の役員室を見せて貰おうかと思ってね。』
「それは失礼。君は重役会が開かれるまでの間、常務代理だったね。」
白く光るブロンドの髪に指を通しながら、嫌味な態度でフールが言った。
「案内しよう。」
俺が案内されたのは十字形をした建物内の廊下を、エントランスを背にして右に進んだ先にある一室だった。
「彼はいいのかい?」
廊下を進む途中フールが口を開いた。ケイの事だ。
俺はケイをエントランスのソファに残したままフールの案内に従ったのだ。ケイには別の仕事が待っている。
『あいつはケイ。今後はムィと同じ様に俺の下で事務仕事をこなして貰おうと思っている。だがあいつには現場を任せられる腕もある。』
「それは…、君が正式な常務になった後の流通部長に…という意味かな?」
フールは口元を歪ませて笑った。そして
「君の仕事熱心さと強欲さには参るよ。」
と付け足した。
デスクワークに関しては優れた腕を見せるムィであったが、現場の危険な仕事もこなさなくてはならない部長という位置に、彼を推す事は出来ない。


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