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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-27

アゲハは一体何を考えているのだろうか。
それに“あたし達”という言葉も気になった。
重役会が開かれるまでの間、予測のつかないアゲハの行動にも警戒しなければならない。

「例のドラッグディーラーか?」
『あぁ、彼女の事を気に入っているらしい。』
俺は再び椅子に座り直したライファーに言った。
「彼女がお前以外の人間と幾度も接触を持つのは如何なものかな。正体を気付かれる恐れがある。」
『それは無用な心配だ。組織に関わる人間に彼女の正体が知れる時は、彼女が自らそれを告げる時だけだ。』
俺ははっきりと言いきった。今や彼女における俺の信頼は絶対のものだった。

暫しの沈黙の後、ライファーは諦めた様に口を開いた。
「わかった、好きにしろ。」
スーツの内ポケットから葉巻をとりだし、その一本を俺によこす。
『これから神奈川に行ってくる。』
俺はライファーから渡された葉巻の先端をナイフで落とし、それに火を移しながら言った。そして口内で葉巻の香りを楽しむ。
「重役会の行われる場所の下見か。常務の役職が役にたつのはその程度だろうな。」
『あぁ、常務以上の役員には専用の役員室と情報端末が当てがわれるらしい。調べてくる。』
ライファーはそれに頷き、葉巻の煙を浅く吸い込む。
『田端の部屋のパソコンからは何が出た?』
「奴の趣味に関する物が全てさ。」
大方、卑猥な映像が殆んどだったのだろう。まったく、何処までも使えない奴だ。
『そうか、ごちそうさん。』
俺は葉巻を灰皿に置き、ライファーの部屋を後にした。

部屋を出るとそこにはケイの姿があった。
「重役会に強襲をかける際は全力でバックアップ致します。」
いつもと変わらぬ流暢なキングスイングリッシュでそう言うと、ケイは軽く頭を下げる。
『期待してる。』
俺は短く答えると、コルベットの停まっている駐車ガレージへと向かった。

コルベットに乗り込むと車内にはノートパソコンが置かれていた。大きさは7インチ程度の小さな物だ。
これはきっとケイから俺への贈り物だろう。パソコンの中にはこれまでの組織に対する捜査の経過や、摘発に向けての検討事項が丁寧にまとめられていた。
生真面目で几帳面なケイらしい仕事だ。
俺はコルベットをガレージに停めたまま、すぐ近くにいるはずのケイに電話をかけた。
『蓮だ。すぐにガレージに来い。』
そう言うだけ言い、俺は電話を切った。
するとケイは1分と経たぬうちにガレージに現れた。
『乗れ。』
ケイが口を開く前に俺はそう告げ、ケイが助手席に乗り込んだのを確認するとコルベットを発進させた。

『摘発の成功率はどれ位だと思う?』
大通りを走るコルベットの中、俺はケイに訊いた。
「そうですね、強襲自体の成功はほぼ間違いないでしょう。後は重役達の確保と密造地の特定ですが…。」
『強襲の成功と言うのは重役達の確保と密造地の特定も含めてだ。それが全てなされて初めて、摘発は成功したと言える。』
俺はケイの言葉を遮って言った。
『確かに強襲のみならうまく行く。だがもっとも重要なのはその後だ。重役達を確保し、密造地を突き止めてダークネスの流通を止めなければならない。』
そう、それこそがINCのエージェントである俺達の使命なのだ。


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