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ツバメ
【大人 恋愛小説】

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ツバメF-1

あたし、綾瀬椿芽はただ今猛烈に焦燥しています。

その発端となる事件は、朝イチの会議で起きました。



第七話
危険な誘惑


「……で、あるからして」
あたしはいつものようにお茶くみをしていました。

『キャッ!』
あたしは手を滑らせ、湯飲みを上司の足に落としてしまったのです。

パシャッ

「っ」
もちろん熱いお茶で火傷をさせてしまうわけで。
「すっ!すみません!」
自分でも驚くほどの反射神経でハンカチを取り出し、太股にあてる。
『本当にすみません!』
「いいよ、気にしないで」
渋い声が聞こえて顔を上げる。
『あ…』
たしか経理部の芝真幸(しばまゆき)さん。
ダンディーで若い社員に人気の上司。
やばい、他のOLに陰口言われちゃうな。

「皆さん、続けてください」
『申し訳ありませんでした!』
二人は同時に立ち上がった。
「……」
『……』


「きみ」
『はい?』
会議が終わった後、芝さんに呼ばれる。
やっぱり怒られちゃうんだ…
「……」
メモ紙を渡される。
椿芽はゆっくりとその紙を開いて、驚愕。

(責任を取ってもらう。仕事が終わったら会社の前のバス停にいろ。)

『へ……』
「わかったな」
芝はそう言うと、何事もなかったかのように歩き出した。
『えぇえぇえ!』


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