投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

雨あがりの色
【女性向け 官能小説】

雨あがりの色の最初へ 雨あがりの色 1 雨あがりの色 3 雨あがりの色の最後へ

雨あがりの色-2

…………10分後。
私は超美形眼鏡…男子?の高級外車の助手席で、白いタオルで髪を拭きながら、右手に流れる景色を見ていた。
「悪かったわね…ちょっと嫌なことがあって、気が立ってたのよ。ほんとうにごめんなさいね。」
私はこのままの格好で電車に乗り帰宅するのも嫌だったし、彼、いや彼女?の申し出に甘え、送ってもらうことになったのだ。
「いえ…」
顔を合わせずに返事をした私に、少し困った様子で言葉を続けた。「自己紹介が遅れたね、一色。一色武人(いっしき たけひと)。お嬢ちゃんは?」
「さ、佐藤です…」
やっぱり、名前は男の人のものだ。とすると、これが属に言う オ カ マ さん…?
「佐藤…何ちゃん?」
「…彩音です」
「彩音ちゃんか。かわいいわね。あなたにぴったり♪」
「………」
「ご、ごめんなさい(汗)!そろそろ機嫌なおして!ね!?」
「……っくしゅっ」
「あらやだ、本格的に風邪ひいちゃうわね。…あぁ!そうだ!私の部屋、このすぐ近くなのよ。そこで着替えたほうがいいわ、ね、そうしなさい。」
真冬に冷たい泥水を浴びて、寒さで頭がまわらなかったのか、オカマさんだと思って気が緩んでいたのか。数分後には一色さんの部屋の前にやってきていた。
「どうぞ、シャワーはこっち。着替えここに置いておくね。」
オートロックのマンションのロビーはホテルのそれのようで、お洒落なデザイナーズソファーが並んでいる。黒で統一されたシックな内装だ。床は大理石だろうか。重厚なエレベーターに乗り込み17階まで上がる。
『一色』と書かれたシルバーのプレート横の、漆黒の大きなドアの前に立つ。
(すごい高そうなマンション…やっぱりモデルさんかな…業界人はアッチの人も多そうだし…)
と勝手な想像を巡らせながら、バスルームに通された私はぬれた服を脱ぎ、熱いシャワーを浴びた。
すっかり体を暖めると、用意されていた男ものの白いシャツに袖を通す。「あがった?今温かいココアでも入れるわね」
「あ、いえ。おかまいなく…」
…オカマだけに。…なんてつまらないダジャレを思いついて一人ニヤニヤしていた私。
「んま、私のシャツ、ブカブカね。でもかわいいわ。女の子のそういう格好♪」
よく考えたら私、初めて会った男…オカマさんとはいえ男性の前でシャツ一枚。下着も乾かないとはけない状態。そして超のつく垂れ目のイイ男に『かわいい』なんて言われて、思わず赤面してしまった。「あ…その…」
「ん?なあに?」
「い、一色さんて、男性がすきなんですかっ?!」

…バカだ私。上せた頭で何てことを口走ったんだ。
「……」
「……」
沈黙。
「あ、やだ、ごめんなさい、ぁ、服乾いたかな!!」
私は乾燥機の中から服を取り出すと、バスルームに戻ろうとした。その時。
ぐい。
腕を捕まれて一瞬で、一色さんの顔が目の前に…
「私は、君みたいなかわいい女の子が好きかな♪」
そのまま軽いキスをされ、ひょい、と体を両手で持ち上げた。いわゆる『お姫さまだっこ』だ。
「ちょ、ちょっと!降ろして下さいっ!!」
抵抗するが、一応オトナの男の一色さんにかなうわけない。
「だーめ!こんなかわいい仔猫ちゃん拾うなんて、そうそうないよ♪」
「こ、こねこ…って、騙したの!?オカマのフリして!!」
「心外ねえ。オカマじゃないわよ。そうねぇ。女きょうだいばかりだからこういう口調になっちゃったけど、心と体は男よ、オ・ト・コ♪」
「ええぇ〜〜〜!?」
そのまま暴れる私を抱きかかえ、ベッドルームへと移動する。


雨あがりの色の最初へ 雨あがりの色 1 雨あがりの色 3 雨あがりの色の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前