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秘密
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秘密〜和馬の祈り〜-8

8 秘密
〜和馬の祈り〜
〜♪

久しぶりに学校のピアノを弾いてみる。

「ピッチ合ってねぇ」
何故か笑いが出る。
「何ヶ月ぶりだっけな」

ぽーん

鍵盤を押す。


「九ヶ月ぶりだよ」

不意に後ろから声がした。

「っ妃・・?」
居たのか。

「待ってたの。先生が音楽室に来るの」
ふ、っと微笑む。

 皐にそっくりの笑顔で。


「ピアノの音がしたから、もしかして、って思って」

「妃・・・」

「教えて」

澄んだ声が響く。

「何を隠してるの?」
どくっ

心臓が大きく波打つ。

「何?」
ー上手く声を出せない。

「美狭子さんのお兄様に会ったの。・・何か、変だった。先生が隠している事ってなに?」


ーあのヤロウ。


「夏休み後には覚悟しているだろうから、聞いてみな、って。何のことなの?」
「妃・・・」

妃を見つめる。

ーどうすれってんだ。
『決めな』

翔の声が頭に響いた。

「知りたい?」
「はい」

ーまだ、この気持が愛なのかどうか分からない。けれど、
「ー・・・妃、」

―愛しい。


「俺は、エイズなんだ・・・」


 風が、熱い。

夏の日差しが眩しい。

ー皐、ゴメン。

生徒のように、俺も祈ってみようか。


 マリア様。もう少しだけ俺に時間を下さい。


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