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由香里
【悲恋 恋愛小説】

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由香里-1

中学3年最後のクラス変えとなり…
今まで一度も顔を合わせた事のない、見たのも初めてなクラスメートがかなり居る事にまず驚いた。
その中に周りからは目立つ事なく1人の女の子が目に飛び込んで来た。
僕はどちらかといえば目立つほうで、クラスの中でもグループあり、由香里とは明らかに違う世界で毎日を過ごしていた。
それからの毎日…
由香里が気になって仕方ない!由香里といえばこっちの存在、こっちの気持ちなどまったく気付かない様子で、まして接点などというものさえなかった。
話しもろくに出来ず、挨拶すら出来ず、告白など…
そして卒業式を迎えたその日、記念撮影を申し込んでみると…
『うん!一緒に撮ろ!』
いつもはクラスの中でも言いたい放題だった僕からしてみればその時だけはいつもの僕ではなかったような気がした。 震えるような小さな声で…
そして卒業式も終わり、帰り際にもう一度…
『着替えて撮り直そうよ!』
勇気を振り絞って由香里を誘ってみた。
『うん!1時に公園ね!』
今まで見た事もない優しくも可愛い笑顔で快く了解してくれた。
急いで帰宅してお気に入りの服に着替え高鳴る胸を抑えつつ約束の時間よりかなり早く公園に到着していた。
1時5分前に由香里は小走りにまたあの笑顔で来てくれた。 制服姿しか見た事がなかった僕は由香里の普段着を見て大人っぽくも可愛らしい由香里を卒業式に撮ったフィルムの残りをすべて由香里と僕とでカメラに収め、嬉しくも楽しい時間を過ごした。撮影も終わり…
『今度電話してもいいかなぁ?…』
ドキドキしながらダメ元で聞いてみた。
『うん!電話して!』
これ…okなのかなぁ?半信半疑ながらも由香里の笑顔を見ているとそんな疑いも吹き飛んでしまった。
卒業して高校に行くまで約1ヶ月間、僕は親友の家で過ごしながら、その親友に由香里の事などを相談したりと毎日を費やしていたある日…
天国から地獄に落とされるような出来事が起きた。
『あのさぁ…言いにくいんだけど…』 そう言うとその親友が一通の手紙を僕に差し出した。
その手紙は親友宛ての由香里からのものだった。
『〇〇君が前から好きだった!』
全文を読んだ僕はしばらく放心状態に陥り絶望的が一気に押し寄せ、その場から逃げ出したくなっていた。
親友といえば…
『こんな手紙もらっても俺は別に…』 『そんな事言っても俺じゃなくオマエが好きなんだから付き合えば?』
『だって俺は別になんとも思ってないし…オマエもう一度アタックしてみたら?』
写真を撮ったり電話に付き合ってくれたのは由香里の優しいなのかいい加減な娘なのか良くわからなくなっていた…
その後、自分の気持ちを封印し、やがて高校に進学した僕は通学の電車で毎日毎日、由香里と顔を合わせる事になる。 お互いなんとなく顔を合わせ辛く微妙な距離を保ちながらの通学になったある日…
『これ…読んで!』
下を向きながら由香里が手紙を渡しに来た。
『あのね…今、私の入る隙間あるかなぁ?』
なんて事だ!由香里を好きな気持ちを封印して一週間前に彼女を作ってしまった…
彼女の事も好きだ!でも由香里は特別な存在だった僕は彼女が居るとは言い出せなかった。
そして彼女が居たにも関わらず由香里とは電話だけの付き合いが始まった。
しかし2人で会う事もなければ自然消滅してしまうのは当然の事…
時は流れ、由香里とは連絡も取らず、またどこで何をしているのかさえわからないまま、高校を卒業した。
就職をした僕にアクシデントが発生して約1ヶ月の入院生活を強いられる事になった。しかしそれが由香里との再開になるとはその時は知る由もなかった。


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