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終わりの合図と見知らぬ唄と
【青春 恋愛小説】

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『忘れ難き時間と知った歌と 後編』-6

くそ!! なんで出ない!?
番号はあってるはずだろぅ!? 誰かと話し中なのか? いったいどうしたら?
せっかく、せっかく言いたい言葉が見つかったのに。
頼むから電話に出てくれよ!
僕にも…僕の為の歌があるって、わかったんだ! 君が唄った歌で、僕はこの世界を抜け出せるってわかったんだ!!
頼むよ出てくれよ!!
伝えなきゃならない事ができたんだ!





洗いざらい吐いた。
多分、藤原君は千秋チャンに知られる事を望んで無いだろう。 けど、どうしたらいいのかわからない… 待つって言っても不安で仕方ない。
…全部吐いたら楽になった。 少し藤原君の気持ちがわかった。
「辛かったね?…大丈夫だよ。マコトは必ず戻ってくるよ? 葵は待ってるって言ったんでしょ? いつまでも待たせるなんて事、マコトは絶対しないから」
「…ん。ありがと… 言ったら随分楽になった…」
「そう? ならいいけど、無理しちゃダメだよ?」
「うん、ありがとう。 じゃ、もう切るね? ちょっと一人で考えたいから…」
「…うん、わかった。 んじゃね。 おやすみ。」
「うん。 おやすみ。」
光をもたらす繋りが途絶えた。 無機質なオモチャになり下がる携帯電話。
胸の中が空っぽになった。
さっきまでのごちゃごちゃした考えがスッと消えた。 ただ話しただけなのに、私の中は清々しく晴れた。
これが友達ってものなのかな…?
急に世界が明るく光った。
暗闇が支配するこの部屋に、唯一、一点だけ光を持った。
携帯電話が唸りをあげる。 下品なバイブレーションが鳴り響く。
メールが来たみたいだった。
差出人は…

私の世界の中心人物





とりあえずメールを開く。 きっと見たら悲しいだろうけど、なぜか手が勝手に動いてく。
『ごめん。 今から会えないかな?さっきの公園で待ってる』
飾りのない黒一色の手紙。
彼らしいといえば彼らしかった。
時刻はちょうど12時を回っていて、気付けば雨はやんでいた。
昨日より重くなったドアを開ける。
私の異変に気付いているのか、お母さんは何も聞かなかった。 …ありがとう、お母さん。
私はできるだけ早く公園へ向かった。 心は逆に重くなるのを感じながら…


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