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君への手紙
【悲恋 恋愛小説】

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君への手紙-1

「別れよう。」



別れというものは、いつも不意にやってくる。

突然で、全く予想もしていないときに。


━━━━━━━━


私があなたにフラれたのは、ほんの数カ月前。

とても寒い日のことだった。



ほんの数時間前までは、キスをして、私の耳元で愛の言葉を囁いてくれていたのに。
あなたは私に別れを告げたの。

本当にいきなり。


あなたは、
「もう決めたことだから。このまま一緒にいても、意味がないよ。それに、この気持ちは絶対に変わらない。」
と言ったよね。
もう耐えられない…といった感じで。

いくらあなたのその言葉に、矛盾があったからといって
(あなたは、私を好きだという気持ちも絶対に変わらないと言ったのよ?)
私には、その別れを受け入れる以外にいったい何が出来たというのだろう。


別に構わなかったのよ。
もともとあなたからの告白を、私は『独りが寂しいから』という理由で受けただけ。
本気で好きだったわけでも、愛していたわけでもないの。
ただの心の穴埋めにしかすぎなくて、いつかは別れるつもりだったんだから。

だから━━…

傷ついてなんかいないわ。



そう思ってるはずなのに。
そう思いたいはずなのに。
…なのに、涙が零れるのはなぜだろう。
あなたの姿を見るたびに、心の奥に切なさが広がるのはなぜだろう。


別に…
別にね、本気で好きだったわけじゃないのよ。
愛していたわけじゃないのよ。

でもね、大切ではあったわ。


だから、私はあなたにすごくすごく尽くしていたのよ?
(恩着せがましく聞こえてしまうかしら?)
私は口が悪くて、無関心を装っているから、気付きにくかっただろうけど。

寒がりな私が、あなたと一緒に帰るために寒いなか何時間でも待って、決して勝手には帰らなかったのも。
チョコが大嫌いな私が、あなたのためだけによくチョコを買っていたのも。
めんどくさがり屋の私が、毎週お弁当を作っていたのも。
朝に弱い私が、あなたとのデートの日は待ち合わせの何時間も前に起きて準備をしていたのも。

全部あなたのためだったの。
大切なあなたのためだったの。
気付いてくれてた?


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