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放課後の背徳準備室
【教師 官能小説】

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放課後の背徳準備室-4

―――放課後、誰もいない化学準備室でふたりきり。



ちょっと名前と外見をいじって、普段の「私」を「あたし」と変えるだけ。
鏡に映る私はもう、気分まで違うあたし。
自由気ままで大胆な『伊吹』として先生に会うのは、私が頑張った時のみ。
「恋愛は勉強の妨げ」とよく耳にする。
だけど私はそう思わない。むしろ起爆剤だと思っている。
先生が好きだから頑張れる。先生に会いたいからもっと頑張る。先生に抱かれたいから…いくらでも頑張れちゃうの。
私は誓った。
中間期末テストや模擬試験など自分の満足ゆく結果が出たら、自分へのご褒美として先生に会いに行く。
駄目だったら次で頑張る。
学校で早戸先生の姿を見つけても、声をかけない。
だって本当の私は、人見知りで生真面目な生徒だから。
どんなに切なくても通り過ぎるの。
『素』の私では駄目。
馴れ合っちゃ駄目。
好きでいるだけでいいの。
最初から叶わない恋。
ましてや、先生には彼女がいる。
私たちは教師と生徒。

だから欲張りになっちゃいけないの…。



秋半ばにはもう、僕の心の隅に伊吹が棲みついた。
葉桜の頃に伊吹を知って以来、早戸は学校内でその姿を探し求めてしまう。
会いたくて、一目でもいいから…。
しかし一度も見かけたことはない。
担任クラス以外の受け持ち生徒の顔は大体わかる。
わかるが、100%の確証はない。
日和見な性格のせいか、その日その日を何となく過ごしているから。
伊吹の上履きカラーを頼りに、1年生名簿で名前を探してみた。
いない。
じゃ、2年?
1人いた。伊吹楓。
確かめにクラスに寄れば、男子生徒。
(どこにいるんだ…?伊吹…)
携帯アドレスも教えてくれない。僕のも知ろうともしない。
「あたしも先生も彼氏彼女がいるし、ねっ」
伊吹を知らない自分が不安で不安でたまらない。
あれは幻なのか?
それとも…。
たった5回、たかが5回しか会っていない。
否、5回とも濃厚なSEXをしたせいか禁断症状に疼いているだけ。
早戸は無理矢理そう思い込もうとした。
大学時代のサークル後輩だった彼女・薔子(しょうこ)とも上手くいかない。
前ほどに楽しめず、一緒にいても落ち着かないのだ。
ああ。
(伊吹…何故、僕の前に現れたんだ…)
薔子を抱くたびに、天真爛漫な伊吹を思い出してしまう。
恥ずかしがり屋の薔子は、明るい所でのSEXを嫌う。自分の裸体を晒すのも嫌う。クンニさえも大げさに恥ずかしがる始末だ。
多分きっと、どこかでSEXを不潔と見なしているのだろう…。
今までの僕は、それでもいいと思っていた。
それが薔子の良さ。
いじらしくて可愛くて控えめで、6年経っても変わらない初心さ…。
だけど僕は欲望を知ってしまった。
伊吹を抱く時の、止むに止まれぬ衝動的な本能を知ってしまった。
伊吹は僕にすべてを見せてくれる。
羞恥を忍ばせながらも淫らに開いて、どうしてほしいのかはっきり言ってくれる。
それがまた僕を興奮させる。
今や伊吹の身体で知らない所はない。
この目がこの手がこの口がこの腕がこの僕が…伊吹の姿形、色艶、感触、臭覚、体温を憶えている。
瞼を閉じれば鮮やかに蘇るほどの…。
もう薔子を抱けない。
もう薔子を愛せない。


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