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School days
【学園物 官能小説】

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School days 4.4-1

「…っくしゅんっ」
「大丈夫か?今日は寒いからな」
ふわりと上着がかけられた。
「風邪ひくなよ」
くす、とその人は笑う。
「柿沢こそ…」
また柔らかに笑って、柿沢は立ち上がった。服を正し始める。

ここは放課後の教室。あたし達はいつも通り、コトを終えた後だ。
今日は久しぶりに二月らしい気候となっている。暖房も布団もない所で裸になるのはさすがに辛い。
でも、嫌じゃないから…
柿沢だから…
あたしは平気だ。

「ねぇ、柿沢…」
「なに」

『あたしのこと、どう思ってるの?』

聞きたいこと。
知りたいこと。
でも、聞けないこと…

「何でもない」
「?何だよ、変な奴」
柿沢は怪訝そうにあたしを見る。
聞ける訳ない。
もし聞いてしまったら、きっとこの関係は続けられない。
傍に、いたいよ…

あたしが服を整えきった時だった。
「あれっ、柿沢くん?」
声が響く。入口に影。ギリギリセーフだ。
「勉強してたの?」
その人物――篠川サンが柿沢に近付く。
「国語のレポートをね、してたんだ」
柿沢はいつもの優等生的口調で答える。

襲ってくる不安。
柿沢が知らない人になったみたいで
手が届かない人になったようで
あたしは視線を落とす。

「途中まで方向一緒だし、一緒に帰らない?」
篠川サンが微笑んで言った。
「折角だけど、これから光木さんと本屋行くから」
柿沢がそう言って荷物を持つ。
「行こうか」
歩き出す彼の後を、あたしは慌てて追い掛けた。


「柿沢のホントの性格ってどっちなの?」
道を歩きながらあたしが聞く。
「今更何言ってんの。お前と居る方が地だよ」
そっか、とあたし。

分かってる。分かってるけど、不安になるから…

「今日は家まで送る。篠川と歩きたくないし」
柿沢はそう言って、別れ道を右へ曲がった。
「本屋は?」
「馬鹿、アイツを遠ざける口実だよ」
それも分かってる。でも、もしかしたら…って思うじゃない?
「…寄ってくか?」
少し考えてから柿沢が言った。飛び出しそうに弾む心臓。
「うん」
行き先を街へと変更する。
嬉しかった。柿沢は何気なく言ったんだろうけど…
チラリと柿沢を見上げる。フレームの無い眼鏡がよく似合ってる。
ふ、と柿沢があたしを見た。ぱちっと視線が合う。
「何?お前今日変だよ?」
その言葉は無視して、あたしは走り出す。
「本屋まで競走。夕ご飯は負けた人のおごりっ」
「は!?おい、フライングかよっ」
背に焦った声を受けながら、あたしは幸せを感じていた。


翌日、柿沢は休みだった。だから風邪ひくなって言ったのに…
あたしは苦笑して柿沢の席を見る。見舞いでも行ってやろっかな。
何持っていこう?
そんな事を考えながら、あたしはトイレへ発った。


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