投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アンブレラ
【二次創作 恋愛小説】

アンブレラの最初へ アンブレラ 2 アンブレラ 4 アンブレラの最後へ

アンブレラ B-1

「どう?そっちのキャンパスライフ」
「結構楽しいよ。学びたいことをやってるんだし。そっちは?」
「こっちは普通かな?サークルは楽しいよ」

俺達は駅の近くにある広場のベンチに座っている。
離れていた月日をどうしていたか。
俺達は語り合っていた。

「変わってないね、君も」
「そうか?」

そうだよと微笑みながら言う。

「それならお前もだよ」
「そかな?」

「そうだって」

街並みが変わっていってるのにこいつは変わってない。
あのときと同じ目が今でもここにある。
眉をひそめる表情も、笑顔も、指のしぐさも……。
なにも変わらず、同じままでいたんだ。
時の早さに消されることもなく。

「あ、メールきてた」

でも…………

「誰から?」

一つだけ……

「ん?彼氏だよ」

心は違う誰かに染められていたんだ……。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


「それじゃまたね」

そう言って見知らぬ誰かと手を振る。

「あぁ、またな…」

段々と遠くに消えていく。
俺はその後ろ姿を見つめる。
君の空いている右手。
それを握って、奪ってしまいたい。

「………なんてな」

できるはずがない。今、あいつの笑顔を見ただろ?
幸せな、心から嬉しそうな顔だったじゃないか。
俺は我に返った。
少し駆け出した足を止めて振り返る。

「…またな」

呟くように、そして彼女の幸せを祈りながら。


そこで偶然のイタズラがまたそこですれ違った。
ふと後ろを向くと、あいつも後ろを向いていた。
そして大きく手を振った。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


あの時、離れて初めて自分自身がやっとわかった気がした。
今思い出すと、少し切なくなる。

「どうしたの?」
「ん?いや、少し思い出をね」

今、俺も結婚して幸せに暮らしている。
あいつもきっと、幸せに暮らしているだろう。
いつか会ったら、また思い出話に華を咲かせよう。
それまで、俺はゆっくり歩いていこう。
こいつと2人で……

「パパー」

いや、3人か。


アンブレラの最初へ アンブレラ 2 アンブレラ 4 アンブレラの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前