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『最強男女』
【学園物 恋愛小説】

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『最強男女』―第四章―-1

―第四章―


生徒会室は、何故か癒しの空間と化していた。
「わぁ、このお茶美味しいですね」
「俺の友人にお茶に詳しい奴がいてね。そいつに毎回いい茶葉を貰ってるんだよ」
和みムードで他愛のない話しを繰り広げているのは、学園一の最強男、績と、学園一の癒し系、亜弥菜だ。
「それで、私に話しって何ですか?」
「おっと、癒されてる場合じゃなかった。君に聞きたい事があったんだよ」
キョトンとし、亜弥菜は小首を傾げた。
「いやぁ、つい余計な事をしてしまって、斎ちゃんに嫌われちゃったみたいなんだよ」
「はぁ……」
「だから、君に協力して欲しいんだ」
亜弥菜は困った顔をする。
「あの……私、あんまりお役に立てないかも……」
「大丈夫。そんな難しい事は言わないよ」
績が笑うと、亜弥菜もつられて笑う。またも場が和やかになった。
「まず、質問に答えて欲しい。答えられる範囲でいいからね」
目の前に座った績を見つめ、亜弥菜は頷いた。
「何から行こうかなぁ。じゃぁ、まず二人は幼馴染みか何か?」
「母親同士が古くからの友人で。でも、斎ちゃんのお母さんは、斎ちゃんを産んですぐに亡くなったんです」
亜弥菜は悲しそうに頭を落とした。
「そっか、それは余計な事聞いちゃったみたいだね」
申し訳なさそうにした績を見て苦笑し、亜弥菜は続ける。
「斎ちゃん、お父さんをもっと早くに亡くしてるから、誰も身寄りがいなくて。うちのお母さんが『大事な友人の娘だから』って斎ちゃんを引き取ったんです」
思っていたよりも重い話だったが、績は真面目な顔で、黙って話しを聞いていた。
「同時期に私が生まれて、今までずっと一緒でした。だから、斎ちゃんと私は、幼馴染みと言うよりは……姉妹みたいなものなんです」
亜弥菜は嬉しそうな笑顔を漏らした。
「そんな事情があったんだね。でも、そんな大事な話しを俺にしてもいいの?」
「私、会長さんの事、信用してますから」
亜弥菜は満面の笑みを浮かべた。
「嬉しい事言ってくれるねぇ。話してくれてありがとう」
績も亜弥菜に優しい笑みを返した。
「さて、それじゃ次は斎ちゃんの好みのタイプは?」
「好みの、タイプ……ですか?」
男性の事だろうかと考えながら、亜弥菜は子供のような輝いた目で答えを待つ績から目を逸らした。
「む、難しい、ですね……斎ちゃんは男の人苦手みたいだから……」
「それは本人じゃないと駄目か。亜弥菜ちゃんは?」
「へ?」
「好きな男性のタイプ」
「わ、私の事聞いても、何の参考にもならないですよ?」
「聞いたらマズいかな?」
亜弥菜は首を横に振った。
「私の理想は……斎ちゃんなんです」
苦笑しながら、亜弥菜は言う。
績は固まる。それを見て、亜弥菜はハッとした顔をする。
「あのっ、きっと会長さんは誤解してますっ! 私、変な意味で言ったんじゃなくてっ!」
「あはは、そうだよね……びっくりした……」
「すいません。えっと、斎ちゃんみたいに大事にしてくれる、優しい男の人がいいっていう意味なんです」
正確に伝わった事に安堵した亜弥菜は、一つ息を吐いた。


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