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『最強男女』
【学園物 恋愛小説】

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『最強男女』―第三章―-1

―第三章―


斎は目の前にいる男の違う姿に驚いていた。が、状況には不満だらけで、段々機嫌が悪くなる。
「あんたさ……どーいうつもり? 何でこうなってんのよ」
「これでも告白してるつもりなんだけど」
「こんな告白、ありなわけ?」
斎は績を睨み付けた。
「フッ、いいねぇその目……」
績の指が斎の髪を梳く。
「いっぺん死んでこい」
「うッ!」
斎の膝が、績の腹に思い切り入る。
腹を抱える績に、斎は冷たい目を向けて口を開く。
「今のを忘れてあげるから、教室まで送って」
「今のは……マジで入ったっ……」
「自業自得だね。早くしてよ、授業始まるから」
斎は何事もなかったように扉に向かった。そんな斎を見ながら、績は腹を押さえたまま苦笑した。
廊下を二人で歩いていると、物凄く視線が痛い。
「もうちょい離れてくんない? 殺気を感じるんだよね」
「気にすんな」
口調は変わったままだが、営業用の笑顔は忘れない。
そんなこんなで教室に到着する。
「どーも。んじゃ」
「ストップ」
教室へ入ろうとした斎は手首を掴まれ、振り返る。
「好きになったのは、マジだから。それだけ覚えといてくれ」
「忘れた」
「ほぉ〜、そう来るか。君、先輩を……いや、会長をナメちゃいかんよ」
「何言って……っ!?」
突然の事に、斎は何が起こったのか理解出来ずにいた。周りからは小さな悲鳴やざわめきが聞こえる。
「これなら、忘れないだろ? それでは失礼」
意地の悪い笑顔を浮かべ、績は去って行った。



──今、何……された……?



唇に微かに残る、初めての感触。



──き、き、き……キス……された?



斎は拳を握り締めて、服の袖で唇をゴシゴシと拭き始めた。
「ふざけんなボケェ〜ッ!」
斎の叫びは、至る所に響いていたのだった。





斎の機嫌が、いい訳はなかった。
「どいつもこいつも……」
数人の女子生徒に囲まれ、斎は顔をしかめる。
「貴女、績様と仲がいいらしいけど、どういう関係なの? まさか、恋人だなんて言わないわよね?」
「どうなのよっ!」
中心にいるリーダーらしき女子生徒の言葉から始まり、次々と言葉が投げられる。
「何であたしが責められなきゃなんないわけ? 付き纏ってくんのは向こうなんだけど。あたしは迷惑してんの」
「績様が貴女なんて相手にするわけないでしょ?」
「そうよ、そうよっ!」
女子生徒が言った事が気に入らなかったのか、斎の眉間の皺が深くなる。
「な〜んかムカつくな。あんた、こんな事ばっかしてんだろ? だから相手にされないんだよ」
「なっ、なんですってっ!?」
「あ〜ら、図星を差されて怒っちゃいけませんわ。醜い顔が余計醜くなりましてよ」
斎はしてやったりな顔をした。それに気分を害したのか、女子生徒が思い切り手を振り上げた。


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