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『Lactic acid』
【スポーツ その他小説】

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『Lactic acid〜2体育祭編』-2

 「はー危なかったー」
 レースを終えた平賀俊介が俺の方へ歩いてきた。言葉は危ないと言っているが顔はそれほど焦った様子ではない。
 「わざとか?」
 「まさか・・・先輩もいるしそんなことできないよ。俺はスタート苦手なんだ。400はそこまで練習しないだろ?」
 そう言うと平賀俊介は自分の組の応援席に戻っていった。
 「せんぱーい!!」
 後ろから馬鹿でかい声がする。この馬鹿声はあいつしかいない。
 「桜か・・・・」
 桜は平賀俊介と同じピンクTシャツを着ている。背の高くバネもある。体格はいいのだが、如何せん練習嫌いなので、伸び悩んでいる。
 「俺も、決勝残りましたよ!勝負っすね」
 「勝負って・・・練習不足のお前が勝てるかよ?」
 それでも、自信満々で桜は胸を張る。
 「100なら負けないっす」
 そう言って、桜も自分の応援席へ戻っていった。
 
 結局、決勝の6人は全員陸上部で占められた。
 おそらく、決勝は俺と平賀と榊哲の勝負になるだろう。
 
 榊には負けても平賀俊介には負けたくない。

 100mの決勝。
 体育祭のプログラムの中でも後半の方なのでポイントが拮抗している組では応援が白熱している。しかし、レースが陸上部のみなので、ギャラリーの予想は同じようなものである。
 下馬評では一番人気は平賀俊介、続いて榊、3番目は引退した3年。俺は4番目だ。
 
 (甘く見られたもんだな・・・)
 でも、そのオッズは俺に火を付けてくれた。
 
 まもなくスタートラインに立つ。俺の両隣は榊と平賀。2人の様子を伺いながら走れる。
 日が少し大分短くなかった。心なしか、影も長い。
 
 「それでは、100m決勝スタートしまーす!」
 体育祭運営委員がメガホン片手に出場者を誘導する。
 スタートラインに6人が並ばされると、まるで大会のように選手の名前がコールされていく。
 「第三レーン桃組、平賀君!」
 より大きな歓声が上がる。それほどインターハイ出場という肩書きは大きい。
 
 「それでは、決勝をはじめます位置について!」
 体育委員が予選と同じようにシグナル構えながら言った。
 選手は思い思いのペースでクラウチングポジションにつく。俺はその場で3回ほどジャンプすると、手をラインより幾分前に着き、ブロックはないがいつもある場所に足をセットした。そしてゆっくりと手をラインに近づけていく。
 「用意・・・」
 
 予選と同じように腰を高めに上げ、ゆっくりと下げていく。
 シグナルまで随分長い。予選の時なら、もう鳴ってもいいのに―

 バンッ!!

 (しまった・・)
 スタートで余計なこと考えすぎて、明らかにスタートのタイミングが遅れた。
 俺がスタートした時には既に半歩程他の選手から遅れていた。
 (でも、これくらいなら!)

 俺は腕を大きく振りストライドを伸ばした。
 50m。
 俺は何とか前を走る平賀俊介と榊に追いついた。他のやつはすでに少し遅れをとっている。
 (いける・・・!)
 
 この加速なら2人をかわせると思った。


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