投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

恋する日々
【学園物 恋愛小説】

恋する日々の最初へ 恋する日々 15 恋する日々 17 恋する日々の最後へ

恋する日々〜消えぬライラックと生い茂るノコギリソウ〜前編-2

「ふん、すぐ暴力に出ようとする…これだから馬鹿は嫌いだ」
「そりゃ奇遇だな、俺も上っ面しか見ねぇ中身の無い奴は嫌いだ」
ニヤリと挑発的な笑みを浮かべると誠はそう返した。腹が立ったのであろう新崎はギリッっと歯を鳴らした。
「ふっ、挑発には乗らないさ。佐藤さんだったね?今からでも遅くない、師範に頼んで僕等のクラスに来ないかい?そうだ、獅堂さんと柳君もこちらに来ないかい?」
「えっ…?」
「………」
新崎の誘いにあやなは戸惑い、礼は無言で新崎を睨んだ。
「そんなところにいると折角の才能をドブに捨ててしまっているのと同じさ。優秀な人間は優秀な場所にいるべきなんだよ」
「…優秀と言うならば神那と美袋は含まれんのか?」
「含まれるはずがないさ。美袋君は能力不足、神那君はどうせ前日にテストを盗み見したかカンニングをしたに違いない」
「酷い!かおりんは凄いし神那君はそんな事しないよ!」
理菜が数々の罵倒に耐えきれなくなり新崎に詰め寄る。
「皆の事何も知らないくせに勝手な事ばっか言わないでよ!」
「ふん、君も騙されているんだよ。そこの不良にさ、親の顔が見てみたいものだね」
「…いい加減にしやがれ!新崎!」
暫く黙っていた誠が新崎に殴りかかる。力をこめて腕を下から上に突き上げる。だが新崎は少し身を反らし誠のアッパーを避わし、右の拳を当てる。それをモロに喰らってしまい勢いよくふっ飛ばされた誠。
「くっ…!」
「誠!」
「ふっ、僕が武術部所属と知らなかったのかい?」
「新崎!てめ…!」
「それまでぃ!!!!!!」
信太が新崎に殴りかかろうとしたその時、ミサイルでも爆発したかのような大声が聞こえてきた。振り返るとそこには師範、柴山源一郎がいた。
「話はすべて聞いていた。殴り合いの喧嘩、おおいに結構!だがここは食堂であり飯を食う所だ、やるならば他へ行け」
「あの師範?聞いていたっていつの間にいたんですか?」
「ここに来たのは今だ、儂は学園長室で聞いていたのだ。」
相変わらずの化け物っぷりに全員が唖然とする。
「なら、校庭にでも行くか?優等生?」
我に返った誠がまたもや挑発的な態度で新崎に聞く。
「ふっ、いいだろう。結果は見えているだろうけれどもな」
「まぁ落ち着けお前達。闘う場所が欲しいならくれてやる。来月に行われる覇王祭でお前達の決着がつくようにしてやる、異存はないな?」
一度言った言葉は死んでも曲げない源一郎に向かって異存をあげる度胸がある者は一人もいなかった。
「ならばよし!!教室に行き勉学に励むがいい!!」
そう言うとズシンズシンと足音を立てながら去っていった。
「覇王祭か…ふっ、全校生徒の前で恥をかくハメになるとはな。ちなみに僕はクラス優勝も貰うつもりさ」
「そうかい、ならこれをやるよ」
優勝宣言をした新崎に誠は何かを握りしめている右手を差し出す。新崎が手を広げるとパラパラと何かが落ちた。
「これは…制服のボタン?」
「そういう格好も似合ってるぜ、優等生さん?」
「なっ!?いつの間に!?」
新崎の制服はの上着はすべてボタンが止めてあったが今はすべて外れていた。誠は先程、新崎を殴ろうとしていたのではなく新崎の制服のボタンを外していたのだ。
「当たらねぇと思ったらそんな事してたのかよ…」
「貴様…!」
「じゃあな、覇王祭が楽しみにしてるぜ」
背中を向け片手をひらひらと振ると誠達は教室へと向かった。その姿をボタンが割れんばかりの力で握りながら新崎は睨んでいた。


恋する日々の最初へ 恋する日々 15 恋する日々 17 恋する日々の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前