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「想末、イモウト」
【純愛 恋愛小説】

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「想末、イモウト」-1

この世の中には

「翠…」

男と女。


ただ、それだけ…

『想末、イモウト』

[SUI]と書かれたウッドプレートが掛ったドアの前で、私は迷っていた。
左に枕を抱え、空いた右手を出したり引っ込めたりを繰り返す。
(お邪魔しても、平気かな…。)
いつの間にか掌は汗ばんで、それに気付き慌ててスカートに擦りつける。
枕も少し湿ってはいるけど、敢えて離しはしなかった。
コンコン…
意を決して、私は軽く握った拳をドアに二度当てる。
「誰?」
「あっ…。」
予想外な、すぐ聞こえた返事に思わず戸惑う。
「す、翠…私。恋。」
やっと出た声は震えて、中々喉から離れてくれなかった。
ドクドクと脈打つ胸に右手を添え、私は再び静まり返った部屋の前に立ちすくむ。
ガチャ…
「何か、用?」
戸が開くと、背の高い男の人が私を見下ろしていた。
勉強していたのか、普段はコンタクトなのに眼鏡を掛けている。
グレーの縁のソレは、程良く焼けた顔色にとても合う。
「勉強…中なの?」
「いや…今は休憩。」
休憩、という言葉を聞いて、取り敢えず邪魔をしたわけではないのだとホッとした。
そんな私を、翠は目を細めて見つめる。
「何?」
彼から発せられた予想通りのそっけない声色に、分かっていながらも戸惑ってしまう。
そんな動揺を出来るだけ隠しながら、私は訊いた。
「今日…一緒に寝ても、良いかな…」
上擦った声でそう言うと、彼は一瞬目を見開いた。驚いたかのように小さく息を飲んで、それからすぐに目を細める。
(やっぱり、ダメだよね…)
アポ無しで一緒に寝たいは、さすがに無理だろうとは思ったけど…
もしかしたら、なんて少し期待をしていた。
枕を握る手に力を込めて、無理矢理笑顔を作る。
「変な事言って、ごめ「入れば」
ただ一言そう告げると、翠は振り向いて部屋の中へと進んでいった。
「えっ…良いの?」
「早く入れよ。」
彼は既に椅子に座って携帯をいじっている。
おずおずと、何年間も入っていなかった部屋に足を踏み入れる。
「鍵、閉めて」
こちらを見ずに、彼は言う。
「あ、うん…」
カチャリ、と鍵を閉める音が部屋に響く。
異様な静けさに落ち着かず、キョロキョロと辺りを見渡してしまう。
私と同じ部屋の造りの筈なのに、広く感じるのは綺麗に整頓されているからだろうか?
一段と目につく、壁一面に備え付けられた本棚にはビッシリと中身が揃えられている。
(私も本棚あるけど、漫画ばかりだもんね)
歩み寄って眺めると、参考書やら英和辞書やら、頭が痛くなりそうなモノばかりだ。
「え…」
ふと、その中に一つ異様なモノを見つけた。
ソレに手を伸ばそうとした、その瞬間…


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