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毎日考。
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毎日考。-1

今、午後1時。
待ち合わせするときは、13時って言わなきゃならないんだよって。
誰かが自慢げに説明してくれた気がするけれど。
夜中の1時に待ち合わせする人なんて、よっぽど変わってると思うのは私だけだろうか。
きっと、みんな同感だって言ってくれるはずだ。

先週、今年に入って何回目かの誕生会をした。
たっぷりの温野菜と、冷たくした果物。
あったかくて上品な紅茶。
美味しいドーナツ。
それから香りの良いバニラのアイスクリーム。
幸せ。
キュウリとかレタスとか、あとラディッシュとかみたいな。
しゃらしゃらして、やたらと新鮮さを強調する野菜は、この幸せには似合わない。
そうゆうのは、うすぼんやりとした朝に明るい蛍光灯の下で食べるものだと決まっている。
朝がどうしてもうすぼんやりとしてしまうのは、私の部屋の向きのせいなのだけれど、でもそれは私に合っている。
恐ろしいくらいにぴったりだ。
新鮮な野菜には例外があって、それはトマトだと信じている。
こっくりとした少し固めの皮に歯を立てると、中から甘酸っぱい―でも、全然酸っぱくなんてないかもしれない―果汁が溢れる。
しゃらしゃらなんてしてないし、確実に栄養を蓄えている感じが野菜として誠実だと信じている。

そろそろ陽射しが入ってくる。
白くて頼りない、レースのカーテン越しの光は部屋いっぱいに広がると、私を嬉しくさせる。
そんなあったかさに、少しでもお近づきになりたくて、けれど自分が太陽の光にはなれないことはわかってる―それがわからないほど子どもじゃない、と思ってるだけなので、近づきたいという気持ちは変わらない―つもりだ。
窓辺に座って、本を読む。
手の届く所に熱いお茶があれば、もう言うことはない。
今日は、新しく買ったハーブティーを煎れてみた。
すぅっとしたミントと、甘いステビアが心地よい。
他にも何か入っていたはずだけど忘れてしまった。
怠惰な、今しかできない生活。

「結婚、してくれるよね」
もうこれは、質問ではなく確定した出来事だったのだ。
彼の中で、私が断るなんていう事態は想定されていなかったに違いない。
私の返事如何に関係なく、もう決められた事実を後から知らされた感じ。
彼は、そういう人なのだから。
けれど、私は寧ろそんな彼が好きだったし、今まで彼が言ったことに何一つうなずかなかったことはない。
たぶん、これからも。
私たちの前に、問題が山積みになっていたとしても、彼が決めたことはなんとかなると思う。
というよりは、なんとかなることしか口にしない、そんな人。
私はぽかりとうなずいた。
彼はにこりと笑って、式は挙げないから、言った。

私は随分冷めてしまった、ぬるいハーブティーを一口すすった。
冷めたせいか、先程よりも確かな甘みを感じる。
式は挙げないんだって。
窓際で本を読むとき、必ず横に寝かせてある猫のぬいぐるみに、聞かせるわけでもなく、かといって独り言を言ったつもりもなく、ただ思ったままを、口に出した。
特にケッコンに夢があったわけじゃないし、ヒロウエンをしたかったわけでもない。
私を披露したくない彼の気持ちも痛いくらいわかる。
私だって、彼を披露したいとは思わない。
ヒロウエン、て残酷だ。
と思う。
どうして相手を披露する必要があるのだろう。
ケッコンは、二人だけでしかできないのに。


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