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ハズレ。
【学園物 恋愛小説】

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ハズレ。‐前編‐-1

『今日は卒業式・・なのになぁ。』
俺は、一人ごちながら一人だけ学校の屋上にいる。

自分が悪い、それは分かっている。でも納得できないことはある。
『さすがに、教師殴ったのはヤバいよ。』



卒業式の終わった頃、下りて教室を遠くから見つめる。
“彼女”は、生徒達と最後の別れをしていた。本来なら自分もその輪の中にいるはずなのだ。
“彼女”が、こちらに気付く。口を開こうとしたのを見て慌ててそこから走り去る。

家に帰り、何をするでもなく自室の壁に寄り掛かり時を過ごしていた。その時、携帯が鳴り、メールが届いた事を知らせた。
ピアノソナタ、月光。
この音が鳴る時は“彼女”からだ。
[私の家においで。]
短い文章だった。俺はすぐにでも行って抱き締めてもらいたかった。慰めてもらいたかった。
・・でも、それでいいのか?
“彼女”にはこの一年迷惑を掛けっぱなしだ。ここでまた、簡単な方向に流れていいものか。

『で、どうだった?自分のバカな行動で出席すらできねぇ卒業式の感想はよ?』夕食の時に無感動な言葉を投げてきやがる親父。こういう時、母親は何て言うんだろう?
・・分からない。生まれてから母親の愛を経験していない自分には。


最初、母親は死んだと聞かされていた。実際、小学5年生までそう信じていた。だが、夜中に親父が誰かと話しているのを聞いてしまった時があった。
親父が電話の相手を呼びかけるのに発した名前、それは死んだと聞かされていた母親のものだった。


それ以来だろうか、親父との仲が以前にも増して悪くなったのは。
離婚の原因は父の自己中心的な性格だと聞いた。
納得だよ、当たり前だよ、こんなバカ親父の妻を一生続けるには仏の様な人じゃなきゃ無理だろ。


俺も、ここから逃げ出して母親と一緒に暮らしたいと思った。だが、絶対親父が連れ戻しに来る。母親を怒鳴り上げて。それだけは許せなかった。だから、我慢してここで生きることにした。


今思うと、自分はかなり損な生き方をしてると思う。感情に任せて、その場で決めて絶対曲げない。ドラマの頑固ジジイ。まぁ、自分としては気に入ってはいるんだけど。卒業延期の原因である教師暴行事件もその一つだ。


二月下旬、数学担当教師の男性教師のセクハラ発言。俺の口からは言えないけど、教室の空気が一瞬にして冷めるぐらいに酷いものだった。


授業の後、言わなきゃいいものを俺はその教師を呼び止めて抗議をした。最初は柔らかい口調だったが、その教師が彼女の事を例に上げた瞬間。

思考時間、一秒足らず。
次の瞬間に俺の拳は相手の肥満気味ボディに直撃。
一発KO。
数分後、俺は他の教師に連行された。
−前編、終。−


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