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「幼なじみ」
【幼馴染 官能小説】

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「幼なじみ」-3

「由佳……」
恐る恐る目を開ける。
隆志が悲しそうな目を向けていた。
「お前……東京行くってほんまか?」

「なんで……」
秘密にしてたのに……
隆志はあたしの上からよけると、座り直してビールを飲んだ。
「お前んとこの担任に聞いてん…なんで知らんねんってびっくりされたわ。…なんで、俺に何もゆわへんねん?」
起き上がって、あたしも座り直した。ついでに乱れた髪の毛も手櫛を入れた。
「行く直前に話してびっくりさせよーかな、なんて……」
茶化してみる。
あたしの東京行きは、ほぼ確実。こっちの大学に行けばいい、とよく言われたが、どうしても勉強したい学部が東京にあるのだ。
N芸術大学……それは、あたしがひそかに憧れていた大学…
「ふざけんなや!!」
隆志が叫んだ。
「俺に隠す必要、あったんか!?なんでお前の口から聞かれへんねん!…俺ら、ずっと…一緒やったやんか!なんでやねん…」
隆志が…あたしをとても大事に思っていてくれてる。それは嬉しいことだ。
でも、あたし達は大人になる。こっちにいても、大学が別になるのは確実。
隆志は広い世界を見て、「幼なじみ」のあたしなんか、もう構ってくれないかもしれないー……
ただの想像にしかすぎんのかもしれんけど……
それに、隆志がこんなに怒るとも思わなかった。
笑って、「そうか。ほんなら頑張れよ」と言うんだろうと、そう思っていた。
「ごめん…」
ショックを受けている隆志にそう言うしかなかった。

あの日以来、隆志はあたしに話し掛けてくることはなかった。
マンションで、学校で会っても無視。
いい加減、あたしも逆切れした。
隆志がそうゆう態度なら、こっちもそうしたるわ!
半ば、投げやりな気分のまま……
いつの間にか、季節は冬になろうとしていて、あたしの東京進学が決まった。

「隆志くん、推薦でR大学決まったんやて。バスケのとは言え、ええとこ決まったなぁ」
夕ご飯の時、母が教えてくれた。
「あっそ。それよりお母さん、あたしあっちでの部屋決めやんと。」
「ああ、せやねぇ。東京行かんとあかんね」
あたしは東京、隆志は大阪……

もう色気がどうとか、ちゃうなぁ。
あたしらは、仲直りできひんまま離れてしまうんかなぁ…
そんな焦りが出てきたのが、街がバレンタイン一色になる頃。
卒業式まで、3週間になっていた。


部屋が段ボールだらけになってきた。
卒業式が終わって1週間後に、あっちに行く予定だ。バレンタイン当日。
段ボールの上にちょこんと、チョコの箱が載っている。
でも…どうやったら渡せるんやろう?こんな気まずい状況で…
その時。
ケータイが鳴った。
隆志専用のメロディ。
「嘘っ…!もしもし!」
「声でかいねん。メシ作りに来て。腹へった」
それだけ言うと、隆志は電話を切った。
なんかしらんけどチャンスや!!
あたしはチョコを掴むと部屋を飛び出した。

「来たで!!」
バァンと隆志んちの玄関のドアを開ける。
「うるさい。はよ、メシ作ってー」
居間の方から隆志の声が聞こえた。
ズカズカと上がり込み、隆志の前に立つ。
隆志は、前、初めてキスしたソファに座っていた。
「これ!あげる!!」
チョコの箱を、ずいっと差し出した。
「何やねん……お前」
それを受け取ると、隆志は、あたしの腕を引っ張った。ぐらっと体が傾き、自然に抱きしめられていた。
「お前と一緒にいられるの、あとちょっとやねんな」
淋しそうな声。
「R大、決まったらしいな。おめでとう」
あたしは、おずおずと腕を伸ばし隆志の背中に回した。
「頑張りや、由佳」
「隆志もな」
顔を見合わせて、笑った。隆志の目が、真剣になって…あたしも今度は意味が分かった。
目を閉じる。
もしかしたら、隆志もあたしと同じ気持ちでいてくれたんかなぁ?
二回目のキスをしながら、何となくそう思った。

気がつけばあたしは隆志の下になっていて、半分裸になっていた。
胸元ははだけてたし、ブラジャーのホックも取られていた。ジーンズも抜がされていた。
「あれ…?何してんの?」
隆志も上半身裸だった。がくっと肩を落とす。
「はぁ…ほんまにお前は…あのね、エッチすんの。今から俺と由佳は」
「ええっ!?なんで!?」
「今まで抵抗せんかったくせに、何やねん」
せんかったんや、あたし!信じられん!
「えっ抵抗せんからすんの!?」
隆志は更にため息をついた。


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