投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「幼なじみ」
【幼馴染 官能小説】

「幼なじみ」の最初へ 「幼なじみ」 0 「幼なじみ」 2 「幼なじみ」の最後へ

「幼なじみ」-1

小さい頃から知ってるから、恋にならない。
そう思っていた。


「おーい、由佳ー」
あたしは呼ぶ声に振り向いた。
だらしなくシャツを出したままの制服姿の隆志が走って追い掛けてくる。
「もう、まただらしないカッコして。うわっ汗くさぁ」
「うるさいわ。俺は真面目なスポーツマンやぞ」
「あそ。あほちゃう、この受験期間に、バスケばっかり。どこもいかれへんやん。どないすんの、大学」
このあたしの幼なじみは、前田隆志という。
高校3年。大阪の吹田にあるマンモス高校に通う。
バスケバカで、ちっこい頃からボールばっか追い掛けてる。
「由佳は何してたん?」
「図書館」
ちなみにあたし、長谷川由佳。隆志と同じ高校に通ってる。
「はー淋しいなぁ、ええ若いもんが。遊べや」
「受験やゆーてるやろ」
夕日が綺麗だ。マンションまでの道程を隆志とのんびり歩く。
隣を歩く隆志を見上げる。180は軽くある身長。あたしだって、163あるからチビじゃないけど隆志と目を合わせようとしたら首が曲がる。
隆志が視線に気付いた。
「なんや?」
「なんもない」
目をそらす。

ほんま隆志かっこいいわぁ……
ふぅ、とため息をつく。
茶色いツンツンした髪の毛は短めにしてあって、その下にはでっかい目。
よく笑いよく喋りよく動く。子供みたいだ。
隆志の彼女になりたいなぁ……
でも………
「せや、太田から預かってるもんあるねん」
隆志が、ズボンのポケットからくしゃくしゃの紙切れを引っ張り出した。
「太田って、隆志の友達の?」
「うん。ほれ」
紙切れをあたしに差し出す。
紙切れには太田のケータイ番とメールアドレスが書かれている。
「なんや、これ」
「メールしたってや」
「はぁ?」
「由佳のこと好きらしぃわ。お前、黙っとったらそれなりにええやん?騙されとんねん、太田は」
「あんた、褒めてんの?」
「そのつもりや」
「どこがやねん」

あかん。
ほんまにコイツはあたしのこと何も思ってへんねん。何が悲しくて好きな男から、他の男の連絡先をもらわなあかんのよ…
「気ぃ向いたらするわ…」
「なんや、いらんのか」
いらんわ。
何も言わずに歩く。
「由佳ー?なんか、怒ってんのー?」
「うるさい。付いてくんな」
「ムチャゆーなや。隣同士やのに」
ほんまに、ムカつく。
可愛さ余って憎さ100倍とはこのことや。
あたしと隆志は幼稚園の頃からの友達だ。
ほんとに小さい頃からずっと一緒だった。
恋を意識したのはいつからなのか……
あぁ、高1の時に隆志に彼女が出来た時か…
無性にムカついて隆志に当たり散らしたっけ。
あの女と別れて以来、彼女は出来てへんみたいやけど、うかうかしてられへん。
そうは思うものの、実際はふざけてばっかり。
男友達みたいになってる。隆志が言ったみたいに、あたしは黙ってたら可愛く見えるらしい。
隆志に負けずお目目ぱっちりやし、矢田亜希子に似てるとも言われた。(ひそかに自慢)
でも小さい頃から隆志とか男の子ばっかりと遊んでたから、やんちゃな女の子に育ってしまった。
おままごとより、チャンバラごっこ。
り○ちゃん人形より、ガ○ダム………
あかん!!
ほんまにこのままでは、色気の「い」の字もない!
「どーしたらいいんやろ……」
一人部屋の真ん中にへたりこみ、呟く。
この世の中に、あたしと隆志だけになったら色気も生まれるかも……
その状況にまずならんけどな。
更にため息をつく。

その時、ケータイが鳴り始めた。着メロで、誰だかわかる。
「もしもしぃ?」
「由佳ー腹へったわーメシ作りにきて〜」
「またぁ?おばさんは」
「分かっとるやろ、おとんと旅行や」
「そろそろ、お礼いただきませんことにはおさんどん係もねぇ、楽ちゃいますのよ?いくら隣やからゆうてもねぇ〜」
「分かってます、由佳様!必ずや、このお礼は!」
「そーお、そんなにあたしにヴィ○ンの財布で恩返ししたいのなら、行っても良くてよ」
「お前…それでも人の子か……」


「幼なじみ」の最初へ 「幼なじみ」 0 「幼なじみ」 2 「幼なじみ」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前