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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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想いの行き着く場所-5

「美月先生、おはよーございまーす!」
「おはようー」
白衣を羽織り、保健室に向かう。良かった、間に合った。溜め息をつきながら保健室に入る。
机にさっきの紙と、ラブホのお釣りを出す。
…どうするべきか。電話して、お金を返した方が良いよね。多分年下だろうし…。こんなにお金を貰うのが悪い気がする。腕を組みながら眉間にシワを寄せる。

そんなんで午前中は仕事に身が入らなかった。お昼を軽く済ませて、また携帯とにらめっこ。
きっと、大学生でも社会人でも、お昼休み中だろうし…。今かけてみよう。
夜まで待てばいいのだろうけど。なんか待てない。ただ、私は早く悠の声がききたかったのかもしれない。

保健室だと、誰か来るかもしれないと思い、外に出て、校舎の陰に隠れて携帯を取り出す。

ボタンを押す手が小刻に震えるのがわかる。私は女子高生かっ!と自分に喝を入れてボタンを一気に押す。

呼び出し音より心臓の音の方が大きい。四回、五回…気が狂いそう。お願い、早く出て…―!
「…はい」
九回目で悠の声。心臓が破裂しそうだった。生で聞くより少しくぐもった低い声…。
「あ、奏子です。昨晩はどーも…。お金を貰い過ぎたので返したいんですけど、…会えますか?」
途切れたら話せなさそうだったから、一気に用件を伝える。
あ゛あ゛…どうして私はこんな言い方しか出来ないの…?ほんとかわいくない。どっぷり自己嫌悪に陥った。
「くっくっく…」
携帯から笑いが漏れる。
「なっなに!?」
「ごめんごめん、奏子…緊張してる?」
「え…?」
「だってすごい早口だから」
図星でおもわず黙りこむ。
「いいよ、いつなら会える?」悠のその言葉に心が躍る。
「私は仕事が夕方になれば終わるから、それからなら…」

と言いかけた時。

キーンコーンカーンコーン…

お昼休みの終りを告げる予鈴が鳴り響く。
「ご、ごめんっまた電話する!」
悠が一方的に電話を切ってしまった。

ん…?
あれ、空耳かしら。携帯の向こうからも予鈴が聞こえ…た?

ふと、向かいの校舎を歩く人影が目に入った。携帯片手に、うつ向き気味に歩く悠の姿が。

悠が携帯をポケットにしまい、こちらを向く。私の手から携帯がスルッと抜けて地面に音を立てて落ちた。
見間違う訳がない。薄暗くったって、顔立ちはハッキリ覚えてる。

悠がしまったという風に手を口に当てる。ボー然としてる私の前に、窓を乗り越えた悠が降り立つ。

制服を…着ている。もう頭が混乱中。
「ど、どういうこと…?」
やっとの思いで喉から声を絞り出す。悠はあさっての方向を見ながら、
「あれ、今日はメガネなんだ、昨日はコンタクト?」
と話を誤魔化した。
「私の事…知ってて、昨日あんな…?」
「…ごめん」
悠の長い睫毛が頬に陰を落とす。開いた口が塞がらないってこういう事を言うのね。
私は高校生と、関係を持ってしまったの…?
悠が落ちてた携帯を拾って、私の手に戻す。
「信じて貰えるかわからないけど…ずっとオレ…」
悠の顔が赤く染まる。
私はこれ以上悠の言葉を聞いてはいけない気がして。急いで白衣のポケットに入っていた財布から二万円取り出して、悠の手に押し付ける。


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