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School days
【学園物 官能小説】

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School days 03+α-1

「宴ちゃん!桜木くんと別れたんだって?」
12月のある朝、隣のクラスの友人が教科書を借りに来た時に突然言った。
「あ…うん…」
「そうなんだー、うまくいってるように見えたんだけどな」
そっかな、と宴が困ったように笑う。
ふ、と向ける視線。机。まだその席の男は来ていない。

「見て、ほら、宴ちゃん!」
ひょこ、とベランダから夕音が顔を出した。
「息白いよ。今日、雪かもね」
暗くなった宴の心を照らすような明るい声。宴はほっとした様子でベランダへ出る。
「ホントだー」
「でしょー?」
肌を刺すような寒さ。耳が痛いくらい冷たい。
「…夕音ちゃん、ありがとう」
ポツリ、と宴が言った。
「ん?なんのことかな」
夕音が空を仰いだまま優しく笑う。
(夕音ちゃんは優しいな…。困ってたから助けてくれたのに、何も知らない素振りしてくれて)
「…ううん、何でもない」
宴はギュッと自分の腕を夕音の腕に絡めた。
「おや、甘えたさんですね〜」
夕音がクスクス笑う。
(きっとそのうち話すから。夕音ちゃん、内緒にしててごめんね…)

「はよー」
教室の扉が開いて、男子が一人入ってきた。
「おはよう」
「おはよー近藤くん」
みんなの笑顔に迎えられながら、彼は、先程宴が見つめていた席へとつく。
「あ、近藤くんだ。おはよう」
夕音がベランダから賢輔に声をかける。賢輔がこちらに視線を向けた。
「おう、おはよう」
その視線が彼女の後ろへと注がれる。和らぐ瞳。
「おはよう、青島」
「おはよう…」
宴が恥ずかしそうに答えた。

いつもの教室、いつものみんな。騒いではしゃいで笑って。
誰も宴と賢輔のことを知る者はいない。
二人は、温かいこの場所が好きだった。このクラスが崩れてしまうのが怖くて、
誰にも付き合っていることを言えていないのだ。


「青島さん」
授業合間の休み時間。ざわつく教室に、宴を呼ぶ声が響いた。友人と話していた
宴は、立ち上がりドアの方を見る。
見知った顔ではあった。
生徒会で会計をしていた頃、同じく生徒会で書記をしていた人である。
だがそんなに仲のよかった人ではなかった。
(何だろう?)
取りあえずその人の方へ向かう。
「はい、なんでしょう?」
「敬語なんてやめてよ、他人行儀だからさ」
「はぁ…」
「俺、分かる?」
彼は自分を指差して言う。
「え、うん、書記やってたよね?竹内くん…だっけ」
「よかったー、覚えてたんだ。そう、竹内尚吾(しょうご)」
宴はまた「はぁ」と困ったように相槌を打つ。
(一体なんの用だろう、この人…)
「突然で悪いんだけどさ、今週末空いてない?」
「は?」
「一緒にさ、勉強しようよ」
「へ?」
突然のことにポカンと立ち尽くす。
(なんで?特に仲良しでもないのに)
「いい?」
「えっ、いや、駄目!です…」
慌てて断る。賢輔が居るというのに、誰が行くものか。
「用事入ってるの?」
「うん、週末はちょっと…」
そっか、と残念そうな彼。しかしすぐに立ち直ったように笑い、
「じゃあまた誘いに来るから。またね」
と風のように去って行った。
呆然とする宴。
(なんなんだ、あの人は…)


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