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狂い咲く想いを揃えて
【調教 官能小説】

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狂い咲く想いを揃えて-1

私には気になる男がいる。
ペットと言うには可愛くなくて、苛めるには可愛い。
…下僕と呼んでみたい。


34の私より10も上で、オジサンだ。
そのくせ美男。にくいね。
女は旬を過ぎればただのオバサンなのに、男はまだこれからが花盛り。
彼はモテる。年中困らないほど。
彼の取り柄は顔だね、きっと。


ずっと前から彼を知っていたのに。
なんで気づかずにいたんだろう。


きっかけは髪。
20になって、長く伸ばし続けていた髪をバッサリ切った。
お尻が隠れるほどの。
すると間を置かずして、彼も髪を切った。
背中を美しく流れていたのに。

視力が落ちたから眼鏡を買った。
縁なしの眼鏡で、かけてみたら優等生みたい。
私ってダサイねと笑ってみせた。
すると、彼も眼鏡をかけるようになった。
私と似た縁なし眼鏡。
視力1.5もあるのに…?
あとでダテ眼鏡だと知った。

私は猫が大好き。
私ね、猫と似て我儘なんだって。
すると、彼は猫を飼い始めた。

彼は既婚者だった。
できちゃった結婚で、愛のない夫婦仲。
「離婚しちゃえば」と私は言った。
すると、本当に離婚した。
何げに言っただけなのに。

私に彼氏ができた。
すると、彼にも彼女ができた。
彼氏と別れると、彼も彼女と別れた。
新しく彼氏ができるたびに、彼も彼女ができる。


ここまで来たら、さすがに彼の存在を無視できなくなった。
私のやることなすことすべてに、彼がシンクロする。
揃いすぎて気味悪い。
気味悪いを通り越して、とてもとても気になった。


気のせい?


私が面白いと言った本にも映画にも音楽にも、彼のチェックが入る。
彼と揃いの娯楽が増えてゆく。

だけど、私は彼に興味がなかった。
バツイチの子持ちより、初モノが好みだから。

確かに彼を「好き」「愛してる」と夢中になった思春期もあった。
それが過ぎてしまえば、何のことはない。
淡い憧れ、恋に恋をしていただけ。


でも彼は違ったのかな?


25を過ぎれば周りは恋愛!結婚!とうるさくなる。
激しい干渉にはうんざり。
私のことはほっといてよ。

「ねえ、あんたもいい年頃でしょ?再婚しないの?しなさいよ。私も頑張るから」
代わりに彼をせっついてみた。
これ以上、何かと揃うのがちょっぴり怖い。
ほんのカマ掛けのつもり。


…つもりだったのに。


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