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舞い斬る華
【ファンタジー 恋愛小説】

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舞い斬る華 番外 シルディアの過去編-3

彼女が大声で泣き叫んでいたので周囲の人が呼んだのか、たまたま巡回中だったのか
警察が窓側に回り込んできていた

男たちは逃げ道を塞がれ一瞬、驚いて止まる

が、彼女を抱えていない男がまず先に窓から飛び降り警察に暴行を加える

そしてその後から、彼女を抱えた男が飛び降りようとした。

そこに…
ふらふらといつの間にか起き上がっていた母が、窓の外に気をとらわれていた男たちを出し抜いて、再度力を振り絞って男に椅子を叩き付けた!

彼女は二度目の脱出に成功する

男は頭をかかえて起き上がり、他の手の空いている男に命令する

「その、実験台を逃がすな!!」

母は彼女の背を押して、彼女をドアの向こうに放り出す
が、そのまま母は内側からドアに立ちふさがった

「シルディア!!早く逃げて!!!」



彼女は動けなかった

「お母さん…お母さん!!!」

壁の向こうで鈍く響く打撃音

それでも歯を食いしばって、男たちを通さない母の悲痛に漏れるこごもった悲鳴。

彼女は、幼いながらも母を助けようとした。

隣の父の書斎から、飾ってあった日本刀を持ち出し、自分の部屋に戻ろうとした。

と、ちょうどその時、下から玄関をぶち破って警察の応援が入ってきた!

そして僅か10分程度で現場には誰も居なくなった。

犯人グループは外に逃げていた数名を逃すも何人かは捕獲。

それと同時に救急車も到着し、母と付き添いの娘を乗せ病院に向かっていた……が…

母は既に息絶えていた……


ずっと憎んでいた母親…

その母から垣間見えた本当の姿

命をかけ守られた熱いくらいの母の体温

その温もりを感じた数分後…


その暖かかった体が…


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