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二人の恋愛論
【学園物 恋愛小説】

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二人の恋愛論-1

「じゃあ、りんご!」
「五位百法」
「ゴイ…?何それ?」
「仏教の法相宗で説かれる存在の分類であらゆる存在を構成する要素を」
「や、やっぱりいいや。『ゴイヒャッポウ』だから次は『ウ』だよね!えっと…うさぎ!」
「ギールケ」
「ブランドの名前とか…?」
「ドイツの法学者でゲルマン法的団体思想の…笠本さん、聞いてる?」
聞いたってわかんないんだもん。それにしても、しりとりも出来ないなんて…
澄まし顔で謎の単語を唱える男の子、恭介くんは学校一の秀才。なんと、私の彼氏。
と言っても、ずっと私の片想いで、数日前に告白して奇跡的にオーケーを貰えたばかり。なぜ‘奇跡的’なのかというと、私は学校一の落ちこぼれだから。
今日は初めてのデートで張り切っていたのに、やはり会話が成り立たない。最終手段として出したしりとりも、このように散々な結果となってしまった。
「ごめんね、私バカで…」
「いや、勉強が出来ないだけだと思う」
授業中、先生から解答を要求された時と同じように、彼は即座に答える。
「勉強が出来ても、バカな奴はいるから」
「勉強できるのにバカなの?」
「本当のバカっていうのは人を簡単に傷つけるような奴のことを言うんだよ。勉強なんか出来なくても、君は人間として頭がいいから問題無いと思うよ」
彼は淡々と話し終え、私を見る。
えーっと…これって、結構すごい褒め言葉?
「そんな風に言ってくれたの、恭介くんが初めて…」
「そうなの?まぁ、これは俺の主観的意見であって、もちろん勉強も出来た方が好ましいけどね」
「よくわかんないけど、恭介くんから見ていいならそれでいい!」
「可愛いこと言うね。まぁ、これも俺独自の感想であって他者がどう思うのかは知り得ないけど」
回りくどい言い方も、なんだか嬉しくなる。
やっぱ、好きだなぁ。
勉強が出来るからとかじゃなくて、考え方とか表現の仕方とか、とにかく彼の存在そのものが好き。
「私、不安だったんだ。恭介くんと私じゃ違い過ぎて、付き合っていくのは難しいのかもって。でも、ちょっと自信ついた」
「不安になんてならなくていいよ。君は俺を好きで、俺は君を好きなんだから。付き合っていくのに、それ以外の必要条件があるの?」
「え…私のこと好きなの!?」
さらりと飛び出た告白に、思わず前のめりになる。
「わかってて告白してきたんじゃないの?」
「う、うん」
「笠本さんは観察力が無いね。だから、勉強出来ないのかな」
容赦の無い毒舌も、今は笑って許せる。
私たちの気持ちが同じだったことが、気を失うほど嬉しいから。
「しりとりも出来ない二人なのに、恋愛は出来るってすごいね!」
「確かに、興味深いね。研究しようか」
「私、勉強出来ないから時間かかっちゃうよ?」
ふざけて問い掛けると、恭介くんの口の端が少しだけ上がった。
「平気。研究も君も好きだから」


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