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いつかの紙ヒコーキ
【純愛 恋愛小説】

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いつかの紙ヒコーキ-2

翌日

俺は担任に進路希望の用紙を提出した。
「はい確かに。これで後は時枝さんだけね」
「俺で最後じゃないんですか?」
自分で最後だと思ってた俺は、まだ提出していない奴がいたことに驚く。

そしてその名前を聞いてまた驚いた。
時枝優里 真面目な感じで、クラスでも成績のいい奴だったからてっきり進学で決定だと思っていたからだ。
まあ、そんなどうでもいいことはすぐに頭から消えた。

この日もいつもと同じように授業が終わる。

するとクラスメイトの一人である岡野正が俺に向かってきた。
大体察しが付く。
「あのさ吉田、今度クラス会みたいなのやんだけどさ、お前来ない?」
ほらな。
こいつが俺に話し掛けてくるときは決まって飲み会の誘いだ。必ずいるんだよな、行きたくもない飲み会を幾度となく企画して誘ってくる奴が。
まあ俺の答えは決まっていた、けどいつものように考えるふりをする。
「悪い、止めとくわ」
そしていつもと同じ答えを出す。
「おう、わかった」
そういうと岡野正は自分の友達の所へ帰っていった。
「ったく、あいつが来るわけねえじゃん」
「ほら、一応さ」
という声が聞こえる。いつもこういう集まりを断る俺は反感買っているんだろうな。まあいいさ、空気を読むなんて下らない言葉に振り回されて、行きたくもない飲み会に行かされるよりは。

俺はふと後ろの方を振り返った。
すると俺と同じように、クラスの女リーダーみたいな奴、長谷部香から誘われてる女がいた。
時枝優里だ。
彼女も俺と同じで、こういった集まりにはいつも来ないらしい。というより人との接触を避けている、そんな感じだ。
・・・あれ、誰かに似ているな。
「ごめん・・・やっぱり私、止めとくね」
「でもこれからみんな、受験勉強や就職やらで忙しくなるでしょ、だからこうやってクラスで集まれるのはもう無いと思うの、だから来てくれたらなあって」
長谷部香は食い下がる。
だけど時枝優里は「ごめんなさい」ともう一度言うと帰ってしまった。


その後、家へと到着する俺。
母が玄関で待っていた。
「勇介・・・やっぱり就職にしたの?」
「ああ」
俺がそう答えると、母の頬に一筋の何かが伝った。
「どうした母さん?」
静かに涙を流す母に俺は心配そうに尋ねる。
「ごめんね」
突然謝る母。
「お母さん、勇介に何もしてあげられなくて。また勇介に心配かけちゃって、自分のしたいこともさせてあげられなくて」
「母さんが負い目を感じる必要なんて無いって、俺が自分で決めたんだから」

それに・・・やりたいことなんて俺には無いし。


九月

とても強い風の日、いつもの様に授業を終え、帰り道を歩く。

すると、道添いにある大きな川の中に足を突っ込んで何かをやっている奴がいた。
そこを通り過ぎる人も不思議そうに見たり、首を傾げたりしている。

そいつはうちの学校の制服を着ていた、女子のようだ。
俺も通り過ぎざまにその女子を見る。するとそいつが知った顔だという事に気付いた。

「時枝?」
俺のクラスの時枝優里だった。
何やら焦ったような、困ったような顔で何かを探しているように見えた。

見てみぬふり、いつの間にか俺の座右の銘になっていた。
だから俺は何事もなかった様に行こうとする、けど少し通り過ぎた所で、時枝優里のさっきの表情が蘇ってしまった。


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