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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み9 〜secretly concern〜-3

 部屋は男の子らしくこざっぱりとした家具が揃えられ、きちんと整頓されている。
 自分用にと常備されているハンガーに上着をかけ、美弥は視線を巡らせた。
 部屋の隅でオイルヒーターが稼動し、加湿器が鎮座している。
 加湿器のスイッチを入れると、美弥は書棚の前に行った。
 適当に一冊抜き出し、ぱらぱらめくってみる。
 と、その時。
「わきゃ!?」
 龍之介が来るまでの暇潰しにとぱらぱらめくっていた本が指を擦り抜け、床を滑ってベッドの下へ突入した。
 美弥は慌ててしゃがみ込み、ベッドの下に腕を入れる。
 そこは掃除をなまけて埃だらけなんて事はなく、美弥は綺麗な本を取り出す事ができた。
 ただし、目的とは違う本が。
「……………………」
 オーソドックスな隠し場所だとは思うが、しかし……。
 好奇心に負けた美弥は、ぺらりと表紙をめくってみる。
 それなりに可愛い女性が、全裸でにっこり笑っていた。
 更にページをめくると、大きく足を開いた煽情的なポーズを披露している。
 思わず、美弥は赤面した。
 次のページは……その部分にモザイクがかかっているものの、明らかに秘所へ『大人のおもちゃ』が突っ込まれている。
 鮮やかなピンクに彩られた棒状の物体が、半分以上どこかへ消えているのだ。 
「やだ、龍之介……こんなの見てるの……?」
 別に一人でそういう事をするなと制限するつもりはないが、それでも恋人がこの類のグラビアを見ながらする事を考えると……いまいち面白くはない。
「興味ある?」
「きゃあああああああああっっっ!!」
 いきなり背後から声をかけられ、死ぬ程驚いた美弥はつんざくような悲鳴を上げた。
 いつの間にやらお茶の準備を終えた龍之介が部屋に来ていた事など、食い入るようにグラビアを眺めていた美弥が気付くはずもない。
「あっ、こ、これ、これっ……!」
 驚きのあまり呂律の回らない美弥に、龍之介はにっこり微笑みかける。
 せっかく主導権を握れたのだから、最大限に利用する気のようだ。
 美弥が発見してしまったこのご用本……実は昨日の大掃除で発掘した紘平の置き土産だったりするのだが、もちろん龍之介にはそんな釈明をして優位を譲る気なんぞ毛頭ない。
 龍之介は白磁のティーカップを乗せたトレイをテーブルに置き、美弥の手から本を取り上げる。
「へえ。こういうおもちゃが……」
 ページを見た龍之介は、美弥を見下ろしてにんまり笑った。
 頬どころか耳や首まで真っ赤になった美弥は、半泣きの表情で顔をぷるぷる振っている。
 言い訳をしたいのに舌が凍り付き、何も喋れなくなっているらしい。
「してみたい?」
「……!」
 首の振りが激しくなると、龍之介は喉の奥で笑い声を立てた。
「でも、こういうモノを覗き見されちゃったもんなぁ……説得力ないよぉ?」
 恋人の眼前に裸のグラビアを突き付けると、半泣きの表情が泣きそうな表情になる。
「わざと?それとも、偶然?」
 口が動かない分、瞳が目一杯『偶然だ』と語っていた。
「ふ〜ん……?」
 まるっきり信用していない口調で呟きつつ視線をじろ〜っと体中に這わせると、美弥は体をすくめる。
「へ〜?」
 萎縮してしまっている美弥に、龍之介は首をかしげて問い掛けた。
「本当に偶然だって、信用して欲しい?」
 問いに美弥は、ぶんぶん頷く。
「ん〜……僕の言う事、何でもできる?」
 同じくぶんぶん頷いた美弥だったが、意図を謀りかねて龍之介を見上げた。
 龍之介は、ニヤリと笑う。
「二人揃ってお参り済ませたら、デパート寄ってくるんだって。だからまあ、時間がある訳さ」


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