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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜C
-9

「はははは学習しねえ女だぜ」
しかしゼルンは異変に気付いた。
「な・・・んだ?
熱気・・・冷気・・電気・・・そして空気の流れまで」
ゼルンは自分の体を包むものの存在を放っているのがウィンであることにも気付いた。
「油断しすぎだ、まさか上手くいくとはね。僕のこの技は実践では使えない程溜めを要するから」
そういうとウィンは杖を振り下ろした。
「その代わり威力は聖位呪文以上だ!!」
「しまっ・・」
「フォースディザスター!!」
"ズガゴアーーーーー"
炎氷雷風の上位呪文がゼルンに一斉に降り注ぐ。
「ぐぎゃーーー!!」 
遂にゼルンの結界を貫くことに成功する。
そしてゼルンは跡形もなく消し飛んだ。


「はあはあはあ」
大きく息を切らすセイン
そしてその体は既にボロボロだった
「馬鹿なこの私が、なぜお前などに」
声を荒げるセインをレーヴェスは下らないものを見るような目で見る。
「気の毒だが手加減はしてやれない。時間がないんでな」
「このガキーー!!」
セインはレーヴェスに向かって突撃した。
"ドスッ"
「カハッ」
セインは大量の血を吐く。レーヴェスの槍がセインの心臓を貫いた。
レーヴェスが槍を抜くとセインはその場に倒れこんだ。
戦闘を終えたレーヴェスは他の三人の安否が気になり辺りを見渡した。すると倒れたヴェイルの元にルナとウィンが寄り添っていた。
レーヴェスも急いで駆け寄る。
ルナが回復呪文を唱えていた。
「どうした!?」
「どうやら大鎌の男との戦闘で・・・」
レーヴェスの問いにウィンは動揺した様子もなく答えた。どうやら大事には至っていないらしい。
「なんとか一命は取り留めたみたいですけどしばらく戦闘には・・・」
「そうか・・・死神フェルディナン、黄泉羽では隊長のセスの次に恐れられていた男。やりあえばただではすまないのも無理はない」
「だからヴェイルさんは自らあいつと戦ったのか」
「ああ、そういう人だ。だが少しの間休んでいてもらおう。あとは俺達が」
ウィンとルナはうなずく。
そしてヴェイルを救援部隊へと預けると、敵将を倒したジェラルド軍は既にホーリー城突入に向けて突撃を開始していた。
次々とホーリー城の守備兵を繊滅していき、ついに巨大な城門までジェラルド軍が到達した。
その時だった
"ギィー"
城門が開いたのだ。   「あ、あれは」
城門から出てきたあるものを見てウィンが震えた声で言う。

ホーリー城 王座の間
神父の格好をした男と話をするアレスター
「あれまで使う気ですか?」
「ふん。もはや出し惜しみしてる場合ではない。神竜復活まで何としてでも時間を稼がなければ」
「しかし同盟国に使わせるならともかく我が軍が直接使っては今まで築いてきた信頼もジェラルドに着せた濡れ衣も」
「黙れ!神竜が復活しなければ何の意味もない!!
信頼も疑いも後回しだ!!神竜さえ復活させれば全てを、ジェラルドもヒーティアもリィズもシーラも灰にできる。全てを支配できる!!」
「灰?遂に本音をもらしましたか。アレスター様、私がなぜあなたなどに協力していたかわかりますか?戦争などという下らないものを無くすためですよ、神竜によりジェラルドを倒せば周りの国はホーリーに戦争など仕掛けなくなる。他の国同士で戦争が勃発しそうになっても神竜の力を持った我が国の介入でそれを止められる。あなたはそう言った。だからこそこれだけの犠牲が出る野望に手を貸したのですよ。しかしあなたはやはり他の国も侵略するつもりだったのですね」
神父は腰にさした剣に手をやる。
「貴様!!」
アレスターは怒声をあげた。
「ダークネスアンドゥレイト!!」
その時アレスターの腹部を背後から飛んできた黒い光が貫く。


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