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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-30

「め、面目ない」
「気にしないで」
 故あって独身の原田は、“苦手”というわけではないが女性に慣れていないところがあり、身を固めてその処置を受けていた。
「どうする?」
 主審を務める男が、龍介に訊く。その意図を理解して、龍介はすぐに、
「交代させるで」
 と、言った。
「赤木」
 原田が抗議の視線を向けてくるが、それを黙殺し、龍介はグラブを手にする。
「ワイが出る。原田は、そのままベンチに戻ってや」
「だが、キャッチャーはどうするんだ?」
「俺がやるよ」
 グラブ捌きで捕手が務まりそうなのは、原田を除けば新村しかいない。それを自覚していた新村は、原田からキャッチャーミットを受け取ろうとする。
「………」
 あまり表情を変えない原田が珍しくも悔しさを露わに、しかし、どうすることもできずにミットを新村に渡そうとした。
「あの……」
 その動きを留めたのは、桜子の声だ。いつのまにか彼女は、外野の守備位置から脚を運んでいた。
「どないした?」
「あたし、あたしがやる!」
「!?」
 思いがけない桜子の志願。原田を中心に輪になっていたメンバーは、一斉に桜子の顔を凝視する。そういう視線に射すくめられながら、しかし、桜子は動じた様子もなく言葉を続けていった。
「あたし、身体に当ててでも、京子さんのボール後ろに逸らさないよ。そういうのはバレーボールで鍛えてあるし、当たっても平気!」
「桜子……」
 必死にも思える、桜子の熱気。
「そやけどな」
「大将、やらせてあげましょうよ」
「お京はん?」
 その援護に廻ったのは、バッテリーを組むことになる京子であった。
「新村さんは内野の要だから、ショートから動かすのは正直避けたいところです。桜子だって、随分前から野球は知っているんだし、捕球に関しては問題ないと思うから」
「むう……」
 チームの中では最も野球に精通している京子にそういわれれば、龍介も抗うことは出来ない。
「わかったで」
 それを容れて、慌ただしく入れ替わる守備陣。原田がベンチに下がり、代りに龍介がグラウンドへ向かう。桜子が捕手になるというので、龍介は空きポジションになっていたライトの位置についた。
「えっと……」
 原田からミットとマスクと防具一式を受け取った桜子は、それを身につける。
「手伝うよ」
「あ、うん」
 レガース(脛あて)の装着に手間取っていた桜子に、大和は手を貸した。
「きつくない?」
「丁度いいくらい。草薙くん、ありがとう」
 脚を何度も踏みしめて、レガースの状態を確かめる。きつくもなく、緩くもなく、俊敏な動きが十分に出来そうだ。野球部に所属の長い彼だけに、先輩のそれを手伝ったことが多かったのだろう。
「よし!」
 ばすん、とミットに拳を叩きつけ気合を高める桜子。
「京子さん、遠慮なくきてよね!」
「そのつもりよ」
 初めて組んだ、バッテリー。しかし京子には、ある確信があった。
「やれやれ……ようやく、収まりがつきましたか?」
 待ちくたびれたように松永が首を廻している。
「頼みますよ。進行をあまり遅らせては、鈴木さんも迷惑でしょうに」
「………」
 集中力が高まっている桜子には、その松永の嫌味も耳には入っていない。


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