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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-218

「おぉっ!」
 両陣のベンチから感嘆の声を響かせた、華麗なファインプレイである。

 キン!

「いかせるかっ!」
 岡崎も負けていない。2番打者の航君が打ちはなったセンター前へ抜ける強い当たりを、やはり飛びつくようにして好捕し、鮮やかなショートステップスローでファーストの若狭に送球した。
「アウト!!」
 微妙なタイミングではあったが、アウトに仕留めることができた。航君の一歩目の踏み出しが少しばかり遅れたことも幸いした。“センター前に抜ける当たりだ”と、手応えで判断してしまったのかもしれない。それは、ミスと言って良い。

 キィン!

「おわっ……」
 3番の晶には、ドロップカーブに完全にアジャストした完璧なスイングで二塁打を浴びたものの、
「ストライク!!! バッターアウト!!!」
 雄太は気落ちすることもなく、続く4番打者をドロップで三振に仕留めていた。
 その後、6回と7回は、ともに無得点で終了。ここまでのスコアボードは、以下の通りである。

【双葉大学】  |000|010|0  |1|
【ドラフターズ】|100|000|0  |1|

 7回まで終了し、同点である。…そう。5回表に双葉大は、同点に追いついたのだ。
 その回の先頭打者は、4番の大和だった。彼は、二球目に投げ込まれてきたクロス・ファイヤーを、振り遅れながらも一塁線に流し打った。フェアゾーンからファウルゾーンの誰もいないところをボールが転がる間に、激走して三塁まで到達した。
 その後、5番の桜子が打った内野ゴロの間に、ホームベースを踏んだのである。形はスマートではなかったが、とにもかくにも追いついたのだ。
 8回の表、先頭打者はその大和だ。三打席目の対決である。
「!」
 相手は初球から、内側の厳しいコースを“クロス・ファイヤー”で攻め込んできた。しかし、それは大和も読みきっていた。
 完全に見える軌跡を追いかけるように、彼はスイングを始動させていた。内側に迫る快速球にも臆することなく、腰をしっかりと据えたまま重心の移動をこなし、そのバットを鋭く一閃した。
(えっ……打った、はずだよね……?)
 ウェイティング・サークルで大和の打席を見守っていた桜子の耳には、ボールの衝突音が届かなかった。それだけ、バットの真っ芯で完璧に捉えていたのだ。
 綺麗な角度で舞い上がった打球は、虹のように鮮やかな放物線を描いて、落下地点が何処になるのかわからないほど遠くに消えていった。
「………」
「………」
 マウンド上の晶はもちろん、亮でさえも呆然とその行方を見送るだけだ。それは、このグラウンドにいる者たち全てに当てはまることだったが…。見る者を魅了し、釘付けにしてしまうほど、アーティスティックな本塁打であった。
(やっと、打てた)
 それを打った本人は、まるで何事もなかったかのようにベースを一周している。
(よし)
 しかし内心では、苦戦していた晶の“クロスファイヤー”に対して、ようやく完璧な形でアジャストできたひと振りに、強い喜びを感じていた。
 前の打席では、確かに三塁打を放った。しかし、“チェンジアップ”が意識にあった中でのスイングは振り遅れとなり、運良く一塁線を抜けていったものの、己の形でバッティングが出来なかった大和としては納得のしかねる打席であった。


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