投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

Cross Destinyの最初へ Cross Destiny 84 Cross Destiny 86 Cross Destinyの最後へ

Cross Destiny
〜神竜の牙〜B
-14

「いえ、何か辛そうな顔をしていたから。」
ルナはアルスのその微妙な心境に気付いた。
「・・・」
「アルス?」
「俺は、俺は、ヒーティア兵を何百人も殺した。
目的があるとはいえ、戦争だとはいえ。」
そしてそれを見透かされたアルスは心の内を語る。
アルスは先日の交戦でヒーティア兵を殺したことをずっと思い悩んでいた。
「閣下!!なぜ漆黒の竜人を戦地に赴かせるのですか?」
ジェラルド城の王座の間でデェルフェムートに意見するヴェザード。
しかしデェルフェムートはそれに答えない。
「危険すぎます。
もし奴がアレスターと接触したら!
奴がもしあの事実を知ったら!
奴は・・・今の内に殺すべきです!!」
「ヴェザード!てめえ!!」
仲間であるフォルツを殺そうと言うヴェザードに怒りを表すヴェイル。
「二人とも止めろ!」
デェルフェムートの声が部屋中に響き渡る。
「・・・閣下」
「おっさん」
そしてその声で冷静になる二人。
「ヴェザード・・・もしフォルツを殺せば、本来アレスターにとっても避けたい魔物の大量投下を行ってくるだろう。
そうなればやはり恐ろしい犠牲がでる。」
「・・・しかし、なら最低でも漆黒の竜人は幽閉すべきです。
ましてや戦地に赴かせるなど!!」
「幽閉なんてすれば奴らはフォルツを諦める。
そうなればやはり魔物の大量投下を行ってくる。
神竜の復活も、魔物の大量投下も防ぐには今のままでフォルツを信じるしかねえ。」
「それに短い間だがやつと旅した俺にはわかる。
あいつは誰よりも心の優しいやつだ。
たとえあいつが真実を知っても神竜の復活に協力することなんて絶対にありえない。」

ヴェイルははっきりと言い切った。
旅をしてきてヴェイルは確信していた。
普段ちゃらけていてもフォルツは傷つく人や苦しむ人のために誰よりも心を痛めていたことを
そしてそんな優しさを持っていることを。




「・・・アルス」
「俺はこの名を、胸を張って言えるように戦ってきた。
そして神竜を復活させようとしてるホーリーを倒すためにジェラルドの傭兵として戦争に参加した。
だが俺は目的のためとはいえ、人を斬った。
魔物でもない、賊でも、人を快楽で殺める人でも無い"人"を」
アルスは下を向き、目をつむりながら拳を固めて言った。
「俺にはこの名を名乗る資格なんて無いのかもな。
俺は・・・星石のために人を殺した賊達や、黄泉羽と何も変わらない。」
しかしアルスはその言葉の直後、心配そうな顔で自分を見るルナを見てすぐに顔を上げた。
「悪いな愚痴をこぼして。
少し疲れていたんだ。
考えても仕方ない、誰かがアレスターを倒さなきゃならない。
俺はそのために目の前の敵を斬るだけだ!」
そして普段の様に振る舞ってみせた。
「違います!!あなたは・・・」
すると突然ルナがそう叫んだ。


Cross Destinyの最初へ Cross Destiny 84 Cross Destiny 86 Cross Destinyの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前