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カーテンと机とつぶれた気持ち
【青春 恋愛小説】

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親友と好きだった人-1

俺には小・中・高とずっと一緒にいる親友がいる。そいつは結城圭佑(ユウキケイスケ)という。顔よし、頭よし、おまけに性格よしとイイ男3条件がそろっためちゃくちゃすごい奴だ。
そんな圭佑がなぜ俺みたいなできそこない人生を送る人間と友達でいてくれるのか。
俺は冴えない凡人だ。
顔‥中(希望)
頭‥中の下(山かけするがはずれるタイプ)
性格‥聞き役多し
本当に普通だ。
だから圭佑みたいな人が友人なのが不思議に思う。

圭佑は本当によくモテる。当たり前だ。バレンタインは休み時間の度に呼び出されて、誕生日は誕生祭と呼ぶに相応しいほど大量のプレゼントをもらう。

そんな圭佑に好きな人できた。圭佑は告白されたことはあるがしたことがないらしい。
ある日、隣のクラスから走ってきたた思えば突然、
『奏人(かなと)ッ!!俺‥好きな人できた‥かも‥』

「まじッ!??誰だよ!??」

『奏人と同じクラスの山田紗雪って子!!』

「えッ‥‥‥??‥あぁ‥そうなんだ‥あの人はいい人だよ。きれいだし、優しいし。」

『やっぱりな!!俺のクラスと体育バスケ一緒じゃん?あの子のボールで突き指したときにすっごい心配して、保健室まで付き添ってくれたんだよ!!俺そんなに痛くなかったけど、あまりにあの子が泣きそうな顔するから可愛くてさ‥‥』


圭佑の言葉は俺の頭の上をぷかぷか浮いていた。


圭佑の恋なら邪魔はしない。俺はかなわない相手とは勝負しない主義だ。

お気付きの通り俺は彼女、山田紗雪が好きだった。入学式のとき、人生で初めて一目惚れした。あの時、俺は彼女の魔法にかかったみたいだった。でも‥もう“だった”なんだ。

圭佑には借りがある。数えきれないほど。
中学の頃、おばあちゃんが死んで悲しくて学校に行きたくなかったとき、アイツは俺の部屋に来てその日学校であったことを話してくれたり、授業のノートを貸してくれたり、毎日欠かさず会いにきてくれた。

普段ノートなんかとらないくせに‥。
帰り道は俺ん家と真逆の方向のくせに‥。

そんな奴なんだ‥アイツは。

だから俺は圭佑を裏切るなんてことはできない。圭佑なら彼女を譲ってもいいと思う。

「譲る」だなんて、俺のモノって訳でもないのにな‥。

彼女、山田紗雪は綺麗という形容詞がよく似合う人だ。《きれい》でも《キレイ》でもなく《綺麗》なのだ。
生まれつき色素が薄いのか、色白の陶器のような肌、思わず指を絡ませたくなるような鎖骨くらいまである栗色のやわらかそうな髪、頬に影を落とすくらい長い睫毛。
本当に一つ一つのしぐさが優雅ですべてが美しい。

彼女はどうやら女の子特有の集団行動が嫌いらしい。いつも一人でいるわけではないが、休み時間は席で本を読んでいることが多い。
だから俺は彼女に話し掛けるチャンスはいくらでもある。でも俺はそれをつかむ術がなかった。

「今日雨みたいだね」

『ふぅーん‥降るんだ。』

おいっ‥何言ってんだよ、俺!!天気の話って一番会話が続かないカテゴリーだろっ!!
しかも今日曇りって言ってたじゃん。頼む、都知事の息子よ‥いつも通りに外してくれ。今日だけは俺が許すから、いつもは文句を言ってるけど今日だけは雨を降らしてくれ‥。


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