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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-43

「……でかいな」
 打席で構えを取る彼女は、ひょっとしたら180は越えているかもしれない。身長・164センチの長見は、羨望の眼差しで何度も背の高い連中を見てきたから、そこらへんの目算は得意になってしまっている。
「………」
 ついでに言えば、バストとヒップもでかい。
(あの胸で、バット振れるのか?)
 と、いいながらも、その部分に釘付けになっているのは、彼も健康な成人男子ということだ。
 映像の投手が振りかぶる。ヒップを小刻みに揺らし、球が来るのを娘は待つ。
 そして、白い軟式ボールが放たれた。

 ビシッ!

「お」
 ボールを強く叩く音が響く。打球は、見事な勢いで宙空を飛び、はるか遠くの防護ネットに突き刺さった。

 ビシ! ビシ!! ビシ!!!

 立て続けに強い当りを繰り返す。何球か弾道の低いものが、映像の投手を直撃し、これまた激しい音を立てた。つまり、それだけ威力のある打球と言うことだ。
「………」
 長見が呆然とその打撃を見る中、娘は嬉々としてバッティングを繰り返していた。
 所定の投球数が終わった。投じた球の9割以上を弾き返された映像の投手が、消えるときに寂しげに見えたのは、長見の心理描写がさせることだろう。
「ンー、まあまあ、ですね」
 娘が額に手をかざす、よくあるポーズで自らの打球を反芻している。そして、くるりと振り向くと、期せずして視線が絡まった。
「OH,SORRYです」
「あ」
 娘の瞳は、青かった。どうやら、異国の出身らしい。なるほど、そのダイナマイトボディは、そうだったからか。
「どうぞ、どうぞ」
 それにしてはやけに腰が低い。自らブースのドアを開け、長見を中に迎え入れる。
「お待たせしましたです」
 そう言って、にこりと笑う。なんとも無垢で、まばゆい表情。
「わ、わりいな」
 長見は、仲居さんにでも世話されているような気分で中に入った。そして、なにも考えずコインをいれ、打席に入る。
「………」
 映像の投手が、振りかぶり、第1球を投じた。

 ゴウッ!

「………はい?」
 130キロのはずが、えらい剣幕で緩衝材を貫いたものだ。意表を突かれて、長見のバットは微動だにしなかった。
(あ、まさか!?)
 長見は慌ててコインの投入口にある、速度表示のランプを見る。思ったとおり、紅い点灯の上には、“140キロ”と記されたプレートが。
「うげ」
 130キロさえ満足に打てないというのに。しかし、せっかくのコインを無駄にするわけにもいかないので、長見は当たるだけでも儲けと考えて、打席に戻った。

 ぶん、ぶん、ぶん…

 そして、やはり当たらない。後に続けてハチの歌でも歌いたいぐらいに、空気を切る音だけが虚しく続く。
(だー、やっぱりかよ!)
 そのスピードに負けまいと、腕に力を込める。とにかく、思い切り振るしかないと長見は思っていた。
 投手が腕を振る。かみ締める奥歯にさえ、強烈に力を込める長見。
「チカラを、抜いてください!」
 突如聞こえたその声に、長見は気を取られた。しかし、既に放たれていたボールは迫っていたので、頭が空白のままバットを振っていた。



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