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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-110

「笹本さーん! ガンガンいってよ!!」
 メガホンを片手に喚き声を上げる、星海大のエース・帆波渚。自分と似た境遇を背負う女投手。いやがうえにも、敵愾心は燃え上がる。
「プレイ!」
 晶はプレートをしっかりと踏みしめて、大きく振りかぶった。亮のミットは、外角低めを要求している。ストレートのレベルは1。
 流れるような一連の動きから繰り出された速球が、唸りを上げてミットを貫いた。
「ストライク!」
 亮のミットが微動だにしないほどに、完璧なコントロール。指のかかりも、肩の廻りも絶好調だ。
「いいぞ、晶!」
 嬉しそうな亮の声。何よりそれが、力を与えてくれる。
 二球目は内角。晶は、相手が仰け反るくらいのストレートをお見舞いしてやった。
「ストライク!! ツー!!」
 しかし、ベースを微かに通るコントロールも忘れていない。相手の打者が“え、これ、ストライク?”という表情で審判を見ている。それほど、絶妙なところを攻めたのだ。
 三球目、亮は外角を構えている。相手の打者は、インコースを抉られた残像が残っているのか、わずかに腰が引けていた。
 その時点で、バッテリーの敵ではない。
「ストライク!!! バッターアウト!」
 三球三振で、まずは一死を取った。
 二番打者が、右打席に入る。何処となく、晶の速球に呑まれた雰囲気があり、構えも弱々しい。
「バッターアウト!!」
 しかし、油断はしない。亮が要求したボールを集中して投げ込み、これまた三球で三振に切って取った。
「あ〜……やっぱ、オレがやるしかないってか!!」
 続く打者は、投手でありながら3番を打つ帆波渚。バットの端を両手で掴み、大きく伸びをしてから左打席に入った。どうやら、右投げ左打ちのようだ。
(………)
 さすがに、これまでの打者とは風格が違う。忙しなく動き、様々なコースにタイミングをあわせようとするその構えには余計な力みもなく、しっかりとバネも利いている。
 亮の構えは、インコース。晶は頷くと、気合の乗せたストレートを放り込んだ。
「!」
 初球から、渚は振ってきた。重りでもついているように安定した下半身と、鋭い腰の回転。それらが伝わるバットの軌跡は、まるで旋風のように空気を切り裂いた。
「ストライク!」
 マウンドにまで聞こえるほどのバットスイング。しかし、内角ギリギリを突いて、相手に満足な体勢をさせなかったため、空振りを奪うことが出来た。
「ああくそ!」
 感情を露にし、悔しがる渚。すぐに構えを取り直し、二球目を待つ。剥き出しの敵意が、強烈なプレッシャーをぶつけてきた。
(ふふ、おもしろいじゃない!)
 晶とて、勝負の世界に浸りきっていた身。普通ならばひるみを感じてもおかしくないそのプレッシャーは、むしろ、昂揚感を与えてくれる。
 大きく振りかぶり、二球目を見舞った。亮の指定通りに、同じくインコースへ。
「ボール!」
 ぶつかりそうなほど身体のすぐ側を通過したにも関わらず、こともなげに見送られた。どうやら、この気の強い娘には、恐怖心を煽って凡打に打ち取ることは難しそうだ。
(………)
 亮のサインに晶は頷く。小手先の投球が通じない相手ならば、対応策はただひとつ。
「ストライク!!」
 それを上回る力でねじ伏せればいい。レベル1.5の速球を外角に投げ込み、相手に見送らせてカウントを有利にした。


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