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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み 〜Obstacle Girl〜-5

「美弥?」
「ん〜……」
布団の中から這い出して来る気配のない美弥の態度に、龍之介は苦笑する。
「キスしてくれたら起きる〜……」
「はい、はい。お姫様」
部屋に入った龍之介はベッドの脇に身を屈めると、布団の中から美弥を探り当てた。
「おはよう」

ちゅ……

両の頬を掌で包み、龍之介はキスをする。
「ん〜………………んぐ!?」
美弥は突然、もがもがと暴れ始めた。
「っぷ……何するのよぉっ?」
暴れ始めた美弥に驚いて、龍之介はキスを止める。
「何って……キスしたら起きるって、自分で言ったくせに」
「うぞっ!?」
龍之介は、怪訝な顔をした。
お願いを叶えてあげたら驚かれたのでは、それも無理はない。
美弥からすれば気持ち良く二度寝を楽しんでいたら、突然柔らかいものが降って来たのであるが……。
どうやら寝ぼけて、甘ったるいお願いをしたようである。
「あ〜……ごめん」
頭の中を整理すると、美弥は龍之介を引き寄せてキスをした。
「うん、目が覚めた」
美弥は布団の中から出ると、大きく伸びをする。
「龍之介は、起きるのずいぶん早いのね」
「ん?まあ、筋力トレーニングを少しね」
「ああ……」
思わず、美弥は納得した声を出した。
胸板がずいぶん厚かったり腹筋が六つに割れていたりお尻がきゅっと締まって持ち上がっているのはさすがに天然ではないだろうと思ってはいたが、おそらくは毎朝やるトレーニングの賜物のようである。
「……って、龍之介。着替えたいんだけど?」
着ているパジャマのボタンに手をかけてから、ふと気が付いて美弥は言った。
龍之介はにやにや笑いながら、美弥の挙動を見守っている。
「あ、気が付いた?残念、もう少しで着替えが拝めたのに」
その言葉に、美弥は舌を出してやった。
「ムッツリすけべ」
「今頃気付いた?」
笑いながら、龍之介は部屋を出る。
龍之介が扉を閉めるのを待って、美弥はパジャマを脱いだ。
「あ……」
自分の体を何気なく見下ろした美弥は、それを見付けて狼狽する。
右胸の上に、小さく赤い円状の斑点が浮いていた。
「やだ、龍之介……キスマークなんていつの間に……?」
急に梅毒にかかってバラ疹が出た訳でもないし、思い当たるのはそれしかない。
――借りたハンガーにかけていた服を着て、美弥は部屋から顔を出す。
外では龍之介が、壁にもたれて待っていた。
「ねぇ……」
美弥は右胸を指し、龍之介に言う。
「これ、何?」
「キスマーク」
「そぉじゃなくて……」
「嫌?」
「……誰に見せる訳でもないけど、こんなの恥ずかしいよぉ」
「……恥ずかしいからいいんだよ」
ぼそっと言った龍之介の言葉を、美弥は聞き逃した。
「僕だけに体を許してます、って感じで」


龍之介が用意した朝ご飯を食べた二人は、午前中は冬休み中の課題として出されたテキストを解き、午後からは街へ出てみる事にした。
クリスマスイヴの活気が消え、まるでしぼんだ風船のようになったクリスマス当日の街を冷やかしてみようというのは、悪趣味かも知れないと思いつつ。
街中をふらふら歩いていると、美弥が不意に問い掛けて来た。
「クラスの誰かと鉢合わせ、なんて事になったらどうしようか?」
その言葉に、龍之介はおどけた声で答える。
「前から付き合ってるんだから、堂々としてればいいじゃない」
『前から』に、美弥は吹き出した。
肉体的接触の一切ない、付き合っている『フリ』をしていた頃。
「そういえばさぁ……」
ふと思い出して、美弥は言った。
「ん?」
「二度目の、保健室に連れてってくれた時」
「あぁ、うん……」
龍之介の歯切れが悪くなるのは、承諾を得たとはいえかなり強引に美弥を抱いた事に起因する。
美弥は、自分の腕を龍之介の腕に絡めた。
「ほんっとに驚いたし、恥ずかしかったけど……嬉しかったんだよ」
「!」
初耳の台詞に、龍之介は思わず歩みを止める。


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