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「本気の恋。はじめました。」
【大人 恋愛小説】

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「本気の恋。はじめました。(下)」-6

次の日私は実景とまことに囲まれた。
            「昨日どうしたの?川田さん心配してたよ」
「私のお客さんの中川さんにまで迷惑かけないでよね」
「ごっごめんなさい…」

二人に謝り倒した後、私は店長の元へ向かった。

「店長!私、明日で辞めます」
「は?」
「家庭の事情で引っ越す事になったんで、もうここにいられないんです!」

私は退店届けを突き付け、有りもしない嘘をつきまくった。

「え?いや、困るよっ」
「困られても来月にはここにいないんで!失礼します!」

けじめを付けたかったので、飛ぶ(無断で辞める)事はしたくなかった。
まぁ…これはこれで強引だけど…

「かっこいいじゃん」
「はい」

山下さんは今までに無い笑顔で笑ってくれた。


「ちょっと美鈴〜山下さんとなんかあったの?」
『そうなの!?』

店の女の子はまことのその言葉に一斉に反応した。

「ちがっ私明日で辞めるの!ここ。その話を聞かれただけ」
『そうなの!?』

またみんなの声がそろう…
本当は言ってしまいたかった。
山下さんが好きだって…
でもグッとこらえる。

「えーなんでー?辞めても遊ぼうね」
「うん」
「私も〜」

すでにお別れモードだ。
でも、なんだかスッキリした。
本当に…明日でおしまいなんだ…



「おはようございます〜」「美鈴ちゃん〜今日は指名呼んでよ?しぶしぶOKしたんだから」

鈴木さんは優しい顔して、金の事ばっかりなんだな。
「美鈴〜さみしいよ〜」
「ぐえっ」

まことにタックルされる…
「美鈴さんご指名です」
「はっはい」

最後のメールを送ったらみんなお店に来てくれて…
なんだか嬉しいような淋しいような…
でも…みんなありがとう。


「美鈴お疲れ」
「お疲れ〜」
「えー山下さんも辞めるの〜!!」
「二人なんかあったの?」「なんにもねーよ」
「たまたまだよ」

私も、山下さんも、みんなに囲まれてた。
確かに同時に辞めるのは怪しいかな…
ばれたら大変なので二人でごまかした。

幸い、後一人飛んだ子がいたのであまり追求されずに済んだのだが。


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