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Ordinary Diary
【純愛 恋愛小説】

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Ordinary Diary U-1

あぁ、憂鬱だ・・・

こんな気分になるのは雨がここ一週間降り続いているから、とか

悩み多き年頃だから、
といった諸説があるだろうが、おそらく俺にそれらは当てはまらない。

雨は別に嫌いじゃないし、将来のことなんかで悩んでる暇なんてない

俺の頭を今悩ませているのは、なぜかここ最近俺に寄ってくる物好きな女の子が俺の髪を引っ張っていることだ。
そろそろ家に帰りたいのだが…
「ねぇ〜教えてよ〜」
かれこれ10分ほどこの行為を続けている、まだ10代とはいえ父の写真を見るかぎり将来の頭に自信が持てないから止めて欲しいんだが・・・


前言撤回!

俺の悩みって頭皮のことじゃないか!

すぐに止めさせねば!

「あの〜ちょっと引っ張るの止めてくんない?」

「だって〜全然私の話聞いてくれないんだもん」

それは断じて違う。
話はちゃんと聞いている。

だけど彼女に付き合うとめんどくさいことになりそうだから反応しないだけだ。

嫌な奴だと思われるかもしれんが・・・事実なんだからしょうがない

「お願〜い、ちょっとでいいから勉強教えて〜」

そう言うと潤んだ瞳でこちらを見つめてきた。

そ、それは反則じゃないのか?
視覚からは潤んだ瞳、聴覚からは澄んだ声、嗅覚からはやわらかな匂い

様々な五感にはたらきかける彼女の訴えに俺は為す術もなく

「・・・どこが分かんないの?」

半ば諦めたように答えると

「教えてくれるの!?」

と先程までの沈んでいた声のトーンが跳ね上がり、満面の笑みがこぼれる。

そんな彼女のなにげない動作を直視することができず、思わず顔をそらす。

彼女はそんな俺の様子に気付くこともなく数学のノートを取り出して

「ここと、ここと、ここなんだけど・・・」
と、大量の質問を浴びせかける。

それにしても、普段の授業風景を見た限りでは真面目に授業を受けているようだったが・・・
なんだろう、この大量の不要な数式の数々は・・・

自慢じゃないが俺は数学が結構、いやかなり得意な方だ
そんな俺でもどこから手を付けていいのか分からない。
未知の奇病に対面した医者になった気分だ。
彼女はフェルマーの最終定理でも証明するつもりだろうか・・・
ちなみにフェルマーの最終定理とは360年間誰にも解けなかった数学界最大の超難問の事だ。
彼女のノートを数学の超難問にたとえるなんて誇張表現と思われるかもしれないが、事実なんだからしょうがない。


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