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きみのとなりへ
【純愛 恋愛小説】

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きみのとなりへE-2

それから3日後。
今日は日曜日、二次審査の日だ。

9時半受付で、10時から審査開始。
僕と誠二は、声をいい状態にして審査に臨むために、7時に待ち合わせをして、会場の近くの公園で最終チェックをしていた。

「緊張するね。」

「ん〜、けどなんか俺今かなりワクワクしてるかも。」

こういう時の誠二は本当に頼もしい。僕はこういう局面に立つとかなり緊張して我を忘れてしまう質だけど、誠二はこういう局面に立ってもリラックスして楽しんでいこうという姿勢で臨める奴だ。誠二といると、僕もリラックス出来てくる。

そんなこんなで本番を迎えた。誠二のおかげもあってか程良い緊張感で、でも落ち着いていつも通り歌えた。

審査を終えて、誠二と分かれて、僕は家に帰っていた。

正直な話、僕は3日前からニヤニヤが止まらない。危ない人みたいだけど…好きな人とあんなに近くにいれて、いっぱい話して。思い出すだけでも幸せ。
なんだか無償に沙癒ちゃんに会いたくなった。

コンビニに行ったら会えるかもな〜。

僕は沙癒ちゃんがバイトしているコンビニに向かった。
だけど沙癒ちゃんの姿はなかった。

そううまくはいかないか…。

僕はとりあえず店に入って、新商品のお菓子を物色したりしていた。
突然肩を叩かれた。ビックリして振り返ると、なぜかビックリ顔の沙癒ちゃんがいた。

「ビックリした〜。」
「いや、それは僕のセリフだよ。」
「だってすごい速さで振り返るからさ〜。」

クスクス笑う沙癒ちゃん。僕の心は熱くなっていく。

「沙癒ちゃん、今からバイト?」
「ううん、今終わったとこ。」
「そうなんだ!」
「一平くんは?今から用事?」
「うんにゃ、今用事終わって、暇だからブラブラしてたんだ。」
「そうなんだ〜。」
「沙癒ちゃんは今からは?」
「とくに予定もないし、とりあえずお家に帰ろっかなって思ってたとこ〜。」

沙癒ちゃんともう少し一緒にいたい。僕は勇気を出して聞いてみた。

「そうなんだ、家どの辺?」
「ここから右をずっと真っ直ぐ行ったとこだよ。」

…見事に逆方向だ。

「俺んちもそっち方向だ!途中まで一緒帰らない?」

僕は思わず嘘をついてしまった。沙癒ちゃんはニッコリ笑ってうなずいてくれた。
僕らは沙癒ちゃん家までの道をゆっくりゆっくり歩いて帰った。この前一緒に遊んだ時みたいにいろんな話をした。

「あ!見て!飛行機雲。」

空を見上げると飛行機雲ができてた。

「私、飛行機雲ってなんか好きなんだ〜。」

少し眩しそうに空を見上げる沙癒ちゃんの顔はとても綺麗だった。


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