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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-6

《16年前

「よう坊主、そんな所に突っ立ってどうした?」一人の少年を連れた老人が廃墟となった村の前で立ち尽くす少年に話し掛けた。
「・・・」
少年は何も言わない。

「ここはお前の村なのか?」
そう尋ねると少年は黙って頷く。
「戦争に巻き込まれてみんな死んだ。
俺が弱かったから守ってあげられなかった。父さんも母さんも。」
少年は涙ぐんだ。
「俺の名前はロイド。こいつはヴェイル。
お前は?」
「レーヴェス」
少年は廃墟になった村を見ながら答えた。
「そうか、レーヴェス。もし親父さんとお袋さんの元に行きたいならそこでそうしてろ。
だが親父さんとお袋さんの分まで生きようと思うなら俺と来い。」

一年後

「おっ、レーヴェス!!お前それは槍か?」
得意気に槍を振り回すレーヴェスを見てロイドは驚いた様子で尋ねる。
「へへへ、自分で作ったんだ。」
「へえ、器用な奴だな!お前槍使いになるのか?」
ヴェイルは尋ねた。
「うん。」
「ああヤダヤダ!ヴェイルも本に出て来た二刀流に憧れて双剣使いになっちまうし。レーヴェスは俺みたく男らしく素手で戦える男にしてやろうと思ったのによ!」
ロイドは半笑い気味に嘆いた。
「そんな変態はロイドさんだけだ。」
ヴェイルが笑いながら言う。
「だーれが変態だ!!」

二年後

「ロイドさん!!ロイドさん!!
今日こそ俺の武器作ってよ。」
レーヴェスはロイドの肩を揺する。
「ああ?嫌なこった!てめえは槍を使うんだろ?俺は剣しか作らねえ!!これはポリシーなんだ。」
「なんでだよ?いいじゃないかケチ!」
「邪道なんだよ、槍だの斧だの!男は一本の剣で戦うって決まってんだよ!!」
「じゃあなんでロイドさんは素手で戦ってんのさ?」
「剣より更に王道なのが拳だからだ!!」
「刀匠のくせに剣使わないなんて!!訳わかんねえよ!!」
「ああーうるせえうるせえガキはどっか行ってろ。今から剣を打つんだ。」
「へんだバーカ!ロイドさんなんて豆腐の角に頭ぶつけてくたばっちまえ!!」
レーヴェスは捨てぜりふをはいて逃げ出した。
「てんめー!どこでそんな言葉覚えやがった!?」
ロイドは鎚を持って追い掛けて来た。
「わー!逃げるが勝ちだ!!」


「ははは、ロイドさんに槍作ってもらうように頼んだって?
無理無理。俺だって双剣作ってって頼んだんだぜ。」
「へえーそうなんだ。」
「同じ剣二つ作るだけだってのにあの頑固親父は『俺は同じ作品は二度と作らない!』なんて言いやがってよ!」

5年後

「皇華無刃流(おうかむじんりゅう) 斬影閃!!」

「今のは俺の格闘術!!」
ヴェイルが放った技は剣技だったがロイドにはそれが自分の技だということがわかった。
「皇華無刃流 断空閃!!」

「あ!レーヴェスまで!!」

二人はロイドの格闘術を自分の物にし、それぞれの武器にアレンジしていた。


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