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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-11

"ギイー"
という音と共にゆっくりと扉が開く。
その扉の向こうにあったのは作戦会議室だった部屋なのか?幾つかのテーブルに椅子、ボードなどが置いてあった。
そしてその椅子に座る一人の男がいた。
「・・・・」
フォルツはその男を凝視する。
「あんたはホーリー王国 国王!アレスター!?」
フォルツは目を疑った。
当然だ。一国の王が部下も連れず、護衛も連れず、この国の片隅にある使われていない塞の部屋に一人座っていたのだ。
「アシェル ご苦労。」
アレスターの言葉を聞き、アシェルはアレスターの元でひざまづく。
「やあ、フォルツ君・・・だったね?」
アレスターは微笑みながら言った。
ホーリー王国の若き王 アレスターは、無争宣言を出し国民のために尽くしたことで信頼を集めた国王 レディウスの曾孫で、アレスターもその温かい人柄と争いを憎む姿勢で、レディウス同様 人々の信頼を集めていた。しかしそんな王がなぜここにいるのか、なぜ黄泉羽と関わっているのか?フォルツはひどく混乱していた。
「ルナはどこだ!?」
だがフォルツはルナのことを思い出しすぐに尋ねる。
「アシェル」
アレスターがアシェルに指示するとアシェルはこの部屋のもう一つの扉から出て行った。
数分後、アシェルがルナを連れて戻ってきた。
「フォルツ!」
ルナはフォルツの顔を見てホッとした様子で駆け寄る。
「約束通りその子は返すわ」
アシェルが言う。
「どういうことだよ?一体何のためにルナをさらったんだよ?何のために俺一人をここに呼んだ?」
フォルツは自分が抱いている色々な疑問を一気に吐き出す。
「君と話すためだ。」
アレスターは再び微笑みながら言った。
「話す?そんなことのために一国の王が出向いたのか!?」
フォルツに不信感が募る。
「そうだ!それほど重要なのだ。
率直に言う。我が国は君の力が必要なのだ。」
「一体何の・・・」
そう言いかけてフォルツは自分の黒い光のことを思い浮かべた。
「解ってるんだね?」
アレスターが尋ねる。
「・・・俺の黒い光呪文」
フォルツがつぶやく。
「そうだ。君のその力が必要なんだ。」
「あんたは知ってるのか?これが何なのか」
フォルツは自分の胸に手を当てて聞いた。
「ああ、だが今は言えない。」
アレスターは真剣な顔で言う。
「言えないだって?」
「ああ、だがいずれ解る」
「くっ・・・・だったらルナの事について教えてくれ!」
「知っているんだろ?ルナの事についても!?」
フォルツはルナが18年間閉じ込められていたこと、追われていたことにアレスター(ホーリー)が関わっているだろうことは解っていた。そしてそれについてアレスターの口から聞きたかった。
「君はもう理解してるはずだ。その子の持っている力を」
「・・・・」
「魔物を封じる力、その得体の知れない力の及ぼす影響を恐れ、その子を隔離していた。」
ルナは自分の持つ力を理解していた様で、アレスターからそれを聞いてもそれほど驚いた様子は無い。
「そして彼女が逃亡した時、その影響を危惧し すぐにでも連れ戻そうと黄泉羽に依頼したんだ。」
「・・・・・」
フォルツはアレスターの言うことを必死に頭で理解しようとしていた。


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