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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-1

〈四章 天槍VS地刀〉

翌日。
アシェルが言っていたルーンの塞のふもとの村、アムルの村。そこのベンチに座り、自分の無力さに怒りを覚えるアルスとフォルツがいた。
「くそ!!俺がついていながら」
ベンチを思い切り殴るフォルツ。
「お前だけのせいじゃない。
呑気に意識を失ってた俺も悪い。」
アルスは悔し気に言った。
フォルツから、レーヴェスの「お前の勝ちだ」という台詞を聞いたが、二度も意識を失ったこと、終盤圧倒したとはいえ自分でも解らない力のおかげだったこと。
アルスの中では二度目の敗北を感じていた。
「とにかく二日後ルーンの塞とやらに行ってルナを助け出さないと」
フォルツは真剣な表情で言った。
「それにしてもどういうことだ?」
アルスは疑問に思っていたことを口にする。
「奴らはルナを狙っていたんじゃないのか?
そのルナをさらった時点で俺達には用は無いはずだ。何故奴らは塞に俺達を誘き出すような真似をするんだ?」
そしてそれをフォルツに尋ねてみた。
「・・・・」
フォルツには解っていた。
《「ロイドさん!!ロイドさん!!
今日こそ俺の武器作ってよ。」
「ああ?嫌なこった!てめえは槍を使うんだろ?俺は剣しか作らねえ!!これはポリシーなんだ。」
「なんでだよ?いいじゃないかケチ!」
「邪道なんだよ、槍だの斧だの!男は一本の剣で戦うって決まってんだよ!!」
「じゃあなんでロイドさんは素手で戦ってんのさ?」
「剣より更に王道なのが拳だからだ!!」
「刀匠のくせに剣使わないなんて!!訳わかんねえよ!!」
「ああーうるせえうるせえガキはどっか行ってろ。今から剣を打つんだ。」
「へんだバーカ!ロイドさんなんて豆腐の角に頭ぶつけてくたばっちまえ!!」
「てんめー!どこでそんな言葉覚えやがった!?」
「わー!逃げるが勝ちだ!!」》

「・・・ヴェス!レーヴェス!!」
ルーンの塞の中で座りながら仮眠を取るレーヴェスをアシェルが起こす。
「もう交代か?」
「一時間は過ぎてるわよ!一時間もサービスしてあげる私優しいでしょ?」
「・・・・」
「ちょっと何か言いなさいよ!!」
「・・・・」
「次はぜっっったいに叩き起こすからね!!」

レヴェスは階段を下り地下の牢屋に向かう。
レーヴェスは牢の前に立つ。そしてその牢の中にはルナが座っていた。
「しばらくそうしていてもらうぞ」
レーヴェスは背中越しに話掛けた。
「慣れているから平気です」
無表情で答えるルナ
「二日後奴等がお前を助けに来ると思うか?」
レーヴェスは何気なく尋ねた。
「わからない、でも・・・・来て欲しくない。
これ以上私のせいであの二人を傷つけたくない。あの二人は私の初めてできた・・・・・トモダチ・・・だから」

アルスとフォルツは今も村のベンチに座りながら話合っていた。
「奴等の要求通り二日後向かうのか?」
アルスが尋ねる。
「しかたないだろ、下手なことしたら危ないのはルナなんだし。」
「罠かもしれない。いや、罠なんだろうな」
「それでも行くさ。付き合いは短いけど、ルナは俺達の友達だろ?」
「ああ、そうだな。」
アルスは頷く。
「でもまたあのレーヴェスと戦うことになるかも・・・大丈夫か?」
フォルツは、アルスが二度も意識を失わされた強敵レーヴェスともう一度戦うかもしれないアルスを心配していた。
「問題無い」
アルスは力強く言う。
その後二人は宿屋で休むことにした。
そしてベンチの近くの木、気配を消し二人の話を聞いていた一つの影。


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