きみのとなりへ④-2
それから４人で薫ちゃんの車に乗って、途中でいろいろ買い物して海に行った。
今年の夏、何度か行った海。でも夜に来るのは初めてだった。
「暗い！怖い！どこに海があるか分かんないね！」
薫ちゃんはかなりビビりあがってる。でも本当に暗くて、そして引きずり込まれそうな感じがした。
「あははっ！よ～し！じゃあ花火しよっか！」
ビビりあがってる薫ちゃんに爆笑しながら誠二くんは袋を開け始めた。
「ヤベ、火がない！」
「え～～意味ないやん！誠二のアホ～！」
「俺買ってくる。」
「じゃあ私車出すね。二人とも花火袋から出しよって～」
そう言って二人は颯爽といなくなってしまった。
一平くんと２人っきり…どうしよう
「かなり暗いね～僕夜の海来たの初めてやん。」
一平くんが海に向かって歩いて行った。
「えっ！待って！」
「ん？どしたの？？」
こんな暗いとこで１人にされるのはキツい。
「一人にしないで～」
一平くんは私をじっと見て、その後ちょっと意地悪そうに笑って
「弱虫～」
って言った。さっきまであった、なんとなく気まずい空気はなくなって、いつもメールで話してるようにいろんな話をしながら、花火を袋からせっせと出していった。
「あ、そういえば…」
一平くんは花火を袋から出し終えて、砂浜にゴロンとなって言った。
「ん？なぁに？」
「さっきメール送ったの誠二なんだ～、勝手に僕の携帯から」
さっき？あぁ、バイト前の！そうだよね～、なんかいつもと調子が違ったし。
「そうなんだ！なんかいつもと違うとは思ったけど。」
少し沈黙があって、突然一平くんが
「いつもの僕ってどんな感じ？」
と聞いてきた。突然そう言われると困るなぁ。
「ん～と、面白い！」
それを聞いて一平くんはキョトンとした。
「面白い？！そうなん？」
一平くんはケラケラ笑って、そうなんや～って言った。