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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-47

安奈の校内放送があってから程なくしてお互いのクラスのライブメンバーがステージの裏に集まっていた。
「はいはぁい、皆さん集まってくれてありがとね」
やたらと笑顔の学園祭実行委員長兼ライブの主催者である安奈がみんなの前に現れた。
「んで、みんなを集めてこれから何をしようかってっていうと、昨日の結果発表をステージでしようかなぁと思います。驚いた? ねえ、驚いた?」
わざとらしくウインクをする安奈にあまりの馬鹿らしさにみんなの顔が引きつったのだった。
「いや、そんなのわかってることだから驚かないって広瀬先輩」
すぐにツッコミを入れたのは幸司だった。
「うるさいっ! そんなのボクだってわかってるよ。そこを知りつつ『わあ、そうだったんですか! おっどろきー!』とか言って女を立てるのが漢でしょ! 違うかね、2‐Aの中嶋幸司くん」
「んなムチャな! それを狙うならもっと面白ネタにして下さいよぉ」
安奈の理不尽な発言に苦笑しながら答える幸司に安奈はすかさず詰め寄るといきなり平手打ちをかましたのだ。
そして突然の平手に幸司がバランスを崩し倒れると安奈は幸司を指差した。
「バカモノ! 後輩が先輩に逆らうとは何事かっ。先輩がカラスは白いと言ったらカラスは白いのだ! 貴様はサッカー部に所属していながらそんなこともわからんのかね」
「広瀬先輩……」
叩かれた頬を押さえながら倒れている幸司が安奈を見上げていた。
しかし、幸司の視線の先は明らかに安奈の顔を見ていなかった。
その様子を見ていたケイは何故、幸司が身体を起こさず安奈を見上げているのかすぐにピンときた。
そして、やれやれといった感じでケイは安奈に言葉をかけた。
「安奈さん、恐らく彼の視線からだとパンツが見えてますよ。表情を見れば一目瞭然ですけど…」
ケイの言葉通り、幸司の顔は緩みきっていた。
「…へっ!? どっ、どこ見てんのよ中嶋ぁ!!」
慌てて両手でスカートを押さえた安奈はそのまま倒れている幸司の股間を踏み付けた。
「ぐふおっ……ケ、ケイさん、それはバラさないでほしかったデス……」
安奈に股間を踏み付けられながらもまだリアクションをとっている余裕そうな幸司にケイをはじめとする周りの一同は思わず感心してしまった。
「ほほう…中嶋、まだ余裕そうね。これならまだまだいろんな責めをしても平気よね?」
笑顔ながらも凄まじい殺気を漂わせている安奈を見て幸司の顔が引きつった。
「い…いや、もう無理ですよ。これ以上は死んじゃいます」
「乙女の秘密を見たんだから大人しく死んでちょうだい、中嶋くぅん」
幸司は一体何を見たんだろう?
安奈の性格を考慮すると下着を見られただけでここまでキレることは想像し難いので、何か秘密があるのだろうとみんなは思っていた。
「ひ、秘密って…あの柄は秘密なんですかっ!?」
「………っ!?」
幸司の言葉に反応した安奈は顔を真っ赤にさせて無言で幸司を連続で力の限り踏み続けた。
そんな中、安奈に暴行の限りを受けている幸司を救ったのは安奈を呼びに来た実行委員の生徒だった。
その声に我を取り戻した安奈は急に笑顔になり、みんなを引き連れてステージに向かったのだった。
そして安奈に折檻された幸司は慎也の手によって引きずられながらステージに行くことになった。

「え〜、大変長らくお待たせしました。それでは昨日のライブ対決の結果を発表したいと思います!」
ステージ上の安奈が言い終わるとすぐに結果発表を見に来た生徒達が異様なくらい盛り上がった。
その様子を安奈のすぐ後ろで見ていたケイ達は思わず苦笑してしまう。
しかし、その間も表情を変えない人物がいた。
香織と美弥である。
二人は互いを意識しているのか、少しだけ険しい顔で睨み合っていた。
昨日、あのようなことがあった二人だがそれはそれなのだった。
「今日こそケリをつけるわよ」
「臨むところです。昨日は今にも死にそうな顔をしてましたけど今日は大丈夫みたいね」
「ふん! 今日、これに勝ってあんたをギャフンと言わせたらその勢いでもう一つの問題も片付けてやるんだから」
香織の真剣な眼差しに美弥は安堵の思いを感じるのだったが、勝負事とは別のことと割り切りいつもの口調で香織を煽った。


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