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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-37

ほとんどの生徒が制服なのに対し、ケイと香織はロック系ながらも際どい衣装を着ており美弥や千晶達2‐Cの子達はいかにもって感じのアイドル系の衣装だった。
ただし、美弥達は彼女を含め5人で編成されていた。
その人込みで香織と美弥が互いの存在を確認しつつ睨み合いながら火花を散らす中、可愛いらしい衣装を着ている千晶はしきりにキョロキョロしながら人を探している様子だった。
探し人の名は東谷竜二である。
しかし、彼の身長の低さを考慮すると探すのに苦労するのだった。
そんな彼女の動きに気付いたのは慎也だった。
慎也は千晶の前まで来ると優しそうな笑顔で話しかけた。
「やあ、榎本さん。竜二のやつをお探しかな?」
「あ…えーっと、確か西家くんでしたよね。なんでそれを……」
顔を真っ赤にして話す千晶と笑顔の慎也を敵意剥き出しの視線を送る2‐Cの男子と羨ましそうに見つめる2‐A男子の視線が集まった。
しかし、学園ベスト3にも入るモテ男の西家慎也という男はそんなことを気にする男ではなかった。
男にはとことん無関心だが女にはとても甘い男なのである。
「まあ、榎本さんの動きを見れば誰かを探してるのはすぐにわかるし、それに以前会った時の竜二への態度もわかり易かったよ」
その言葉に千晶は耳まで朱くなり頭がパニックになる寸前だった。
「でも、竜二の奴はかなりのニブチンだから榎本さんもガンバりなよ」
慎也は千晶にそう諭す様に言うと周りを気にせず彼女の手を取り竜二のところへ歩き出した。
「おーい、竜二! お前にお客様だ」
幸司をはじめとする数人の男子と話をしている竜二に千晶の手を引いた慎也が声をかけた。
「おおっ! 千晶ちゃん会いたかったよぉ」
思いっきり顔を緩ませた幸司が千晶に飛び掛かろうとした瞬間、幸司の顔に慎也の靴の裏がめり込んだ。
「誰がオメーの客だと言った。俺は竜二に客だと言ったんだ、このボケッ!」
慎也は憮然とした表情で幸司と周りいる数人のクラスメイトを強引に連れて竜二と千晶の前から立ち去るのだった。

「それにしてもどうしたんだよ榎本」
不思議そうな顔で千晶を見る竜二に千晶の顔はみるみる朱くなり、手をもじもじさせながら俯いてしまったのだ。
「……東谷くんにね、私の衣装をちゃんと見てもらいたかったの…に、似合ってるかな?」
千晶の精一杯の勇気を振り絞って小さい声ながらも紡いだ言葉に竜二は笑顔で千晶の頭を撫でながら褒めてあげた。
「ああ、千晶によく似合ってるぞ。なかなか可愛いじゃないか」
竜二の言葉に千晶は今にも倒れてしまうのではと思うくらい舞い上がっていたのだ。
「ありがとう東谷くん。これでちゃんとステージに上がれそうだよ」
瞳を潤ませて竜二の顔を見る千晶に竜二は訳もわからずに意識をしてしまっていた。
「い、いや、俺はなにもしてねーし」
「ううん、東谷くんは私に勇気を分けてくれたよ。とっても大きな勇気をね…」
千晶の言葉には力が満ちていたので竜二は少し安心した。
「ま、いっか。俺は立場上表立って応援は出来ないけど頑張れよ」
恥ずかしそうに顔を逸らしながら励ます竜二だったのだが、そんな彼の言葉に千晶は嬉しそうに頷くと千晶を呼ぶクラスメイトのところに走っていった。
先日、同性として憧れている香澄に声をかけられた時も千晶は嬉しかったが、今回の竜二の言葉の方が千晶にとって何倍も嬉しかったらしくそれが彼女の表情にありありと出ていた。
各々が思い思いの時間を過ごしていると突然、拡声器を持った安奈が現れ大きな声で喋り始める。
「あー、あー、これから2‐Aと2‐Cによるライブ対決を行いますので裏方の生徒は各自持ち場へ。演奏者は舞台袖に集合。それから演奏順序はC組から行います」
安奈がそう告げると両クラスの生徒達はバタバタと動き出した。
その様子を見て安奈はよしよしといった表情を見せると軽い足取りで既にステージ前に集まっている観客のところへ行くのだった。


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