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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-27

「朱鷺塚だって外見は香澄先輩と結構似てるよな、中身は正反対に近いけど…」
「あはは…それはよく言われる。同じ環境で育ったはずなのにお姉ちゃんとここまで性格違うのもすごいねって」
少し困ったような笑顔で答える香織に圭介は「……そっか」と言うと香織の顔を見て言葉を続けた。
「でも、人に対する思いやりの部分とか人としての根っこの部分とかは表現方法は違うけど似てると俺は思うぞ」
そう言うと圭介はにっこりと笑うのだった。
そんな笑顔の圭介に香織は顔を朱くして照れながら手をぶんぶん振り圭介の言葉を否定したのだったが、それが照れ隠しだというのは誰の目から見ても明白だった。
「相沢の言ったことがどうかはともかく、よく見てるってことかな?」
「そりゃあ朱鷺塚はいつも智香と一緒にいるんだから観察する機会も多くなるのは当然だろ」
「まあ、智香はお兄ちゃんっ子みたいなところがあるからあの子といれば自然と相沢といる機会も増えるのもしょうがないか」
悪びれることもなくケラケラと笑う香織に頷いて答える圭介であった。
「でも、そういう意味ではあたしも相沢を見てるってことになるよね」
「まあ、そうなるな。それで朱鷺塚から見た俺は?」
圭介は香織の目から見た自分が気になり自然と尋ねていた。
「そうねぇ、最初に相沢を見た感じは人見知りするタイプかなって思ったわ。でも、それなりに話していくうちにいろんな面が見えてきて要領は悪いけど優しい人なんだなってことがわかったの」
しみじみと言う香織に圭介は黙って耳を傾けていた。
「まあ、更に詳しく知るようになったのは智香から話を聞かされてからなんだけどね」
その言葉に圭介は自分の兄のことを一生懸命に友達に話す妹の姿を想像し思わず笑みが零れてしまった。
「相沢? どうしたの」
「いや、智香が朱鷺塚に俺のことを必死に話してお前が苦笑いしながら話を聞いてる姿が容易に想像できたんでつい笑っちまった」
「あー、そーゆーことね。確かにその時の光景は想像通りだと思うわ」
二人はお互いに顔を見合わせると、それぞれの意味で笑い出した。
それからしばらく雑談をした二人は、話が一段落したところで店を出て学園に向かって歩き出した。
もちろん、買った荷物の殆どは圭介が持つ羽目になり文句の一つでも言ってやろうとしたのだったが、香織に「頑張れ!」と無垢な笑顔で励まされると「まあ、いっか」と思ってしまう圭介だった。
正直な話、この時の香織の笑顔はそれくらいのことなど帳消しにしてしまう程に破壊力のあるものだった。
やはり、学園屈指の美少女と呼ばれる朱鷺塚香澄の妹である香織も姉に劣らぬ魅力の持ち主であったのだ。
「しっかし、ここでその笑顔はズルいよなぁ。あんな笑顔を見せられたら文句なんか言えねーよ」
ブツブツと文句を言いながら荷物を持ち、香織の後を歩く圭介だったが言っていることとは裏腹に表情はどことなく嬉しそうだった。
それもそのはずで香織の笑顔自体は珍しくもないのだが、今回の笑顔の質は香澄のものとよく似たものだったので普段の香織からは見られないもの故に圭介はレアな体験をしたのだ。
だから嬉しそうな顔をしたのである。
「ん? どしたの相沢。そんな嬉しそうにニヤニヤしちゃって」
不意に振り向いた香織はにやけ顔の圭介を不思議そうに見て尋ねた。
「いやいや、別に大したことじゃないんだけど珍しいもんが見れたからさ」
「珍しいもんって?」
「香澄先輩みたいな笑顔をした朱鷺塚」
圭介の言葉にしばらく理解出来なかったのか、香織は少しの間呆然とすると急に我に返り顔を真っ赤にして慌て出した。


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