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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-17

「お…おはよー」
「あー!! ケイ!! ごめんね忙しいのに…ジーパンも似合うね、あたしと大違いだよ」
ハイテンションでキャラキャラ笑う香織もジーンズ姿だった。
「どうも! 学園一のモテ男・中嶋幸司とは私のことです!! 今日からケイ様の手となり足と…」
「ハイハイ阿呆は黙ろうねぇ〜」
話の途中で幸司は首根っ子を捕まれた。
「テメッ、何すんだよ!これから一緒に練習するんだから仲良くしようとしてるところを邪魔するんじゃねぇ!」
幸司は香織に非難の言葉を言うが、当の香織はそんな幸司に冷ややかな視線を投げかけ幸司の首から手を離すと人差し指を幸司の鼻先に突きつけた。
「中嶋、アンタの場合は下心がミエミエなの! ちょっとでもケイに変なことしたらただじゃおかないから覚悟しなさいっ!!」
なんか今日の朱鷺塚って気合が入ってるような気がするんだけど俺の気のせいかなぁなんて思ってると、朱鷺塚はこっちを振り向き幸司と話してた時とは全然違う極上の笑顔で話しかけてきた。
「ケイごめんね。こいつバカでさぁ、あたしとしてはケイに会わすのが恥ずかしくてイヤだったんだけど我慢してね。あと、変なことをされそうになったらすぐに言ってね。きっちりシメとくからさ」
そんなことを臆面もなく言い放つ香織。
全く、幸司の立場が全然ないじゃんと思いながらも幸司に言い寄られる自分を想像するとケイはゾッとするものがあった。
「それにしても遅いなぁ…」
香織は携帯を開けて時間を確認すると、待ち合わせの時間から15分が経過していた。
「みんな寝坊してんじゃねーの? どうするよ、軽音部の友達が手配してくれたスタジオ…延長きかねぇんだぞ」
幸司も携帯を開いて時間を見た。
香織は眉間にしわを寄せ怒りながら悩んでいる。
キレるか!? と構えた瞬間遠くで声がした。
「ごっめーん!! 電車遅れててさ」
ヒールの高いミュールで走りにくそうに走ってきたのはクラスの綺麗どころ『入来未歩』である。
「ってあれ? アタシがドベでもなさそうだね…よかった♪」
茶髪の巻き髪を揺らしながら入来はにっこりとほほえんだ。
「未歩ぉ〜ドベじゃないからいい…とかの問題じゃないよぉ」
香織のお小言に苦笑いで誤魔化す未歩。
二人並ぶとかなり眼福…なんて思って見ていると俺はあることに気付いた。
あれ…あの服…。
「あー!! 本物!? ケイ!? すごいすごい♪ 未歩です、今日はケイで極めてきました!」
かなりノリノリで入来は俺の前でクルリと回ってみせた。
確か朱鷺塚達と撮った時に着ていた服だ。
ケイはとりあえず笑って「ありがとう」と言った。
「可愛いー!! やばいって惚れちゃうよ!! ね、香織」
入来の言葉に自然と照れてしまう。
やべ…女装だけどやっぱモテるのは嬉しいかも。
顔が火照ってくる。
入来に同意を求められていた朱鷺塚はそんな俺に気付いていたずらっぽい笑顔を一瞬浮かべた。
「うん。惚れちゃう」
「…………っっ!?」
その言葉を聞いた瞬間、冷や汗が出た。
やべ…マジ恥ずい。
頑張って平静を装うが、たぶん顔は真っ赤だろう。
ケイが女二人にからかわれてタジタジしていると、幸司が現実に引き戻してくれたのだった。
「俺も惚れちゃいます…つーかすでに?」
ケイがゲンナリする瞬間、香織の鞄が飛んできた。
「あんたは少し黙ってってくれないかなぁ」
鞄の直撃を顔面に受けて地面に倒れた幸司をにこやかな表情で見ながら香織は釘を刺した。
しかし、幸司の受難はそこで終わらなかったのだ。
「ホント、中嶋くんは身の程を知って欲しいわね」
そう言いながら幸司のことを踏みつける未歩。
「ああっ、痛い痛い痛いっ! ゴメンなさい! 俺が悪かったデス」
幸司が痛めつけられてるのを呆然と見ていたケイだった。
ああ…入来って普段は温厚なのに今は怖いよ…。
それより二人のコンビネーションの良さはなんなんだよ。
うーん、幸司を痛めつけてる二人を見て思ったんだけどまさに天使と悪魔の二人だよなぁ。
やってることは同じはずなんだけど表面的なイメージが見事に対極すぎるよ。
まあ、どっちがどっちっのイメージなのかはあえて言及しないけどね…。


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